Bolter'91(Y.Hayashi)

新しい記憶術

電子Writingは新しい記憶術なのだ. コンピュータは, 人間の記憶によって代わるものではないけれども, Writingと記憶の 間の境界線を描き直す, と言うか新たに作り直すのである. かつては書き手や読み手の心の中に存在していた 要素間のダイナミックなネットワークを, コンピュータは自分自身の中に取り込む ことができる.

書き手の記憶とは, かつて印刷されたり手書きされたりしたページとの間でそうだった ように, 電子のWriting Spaceとも或る連続体を形成する. そして電子のWriting Spaceを航海するということは, 人間の精神能力に新たな要素を突きつける ことであって, 記憶そのものを新しく定義するということを含意するのである.


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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