Imai_Kaneko'88(Y.Hayashi)

ネットワーク論の中心課題

ネットワーク論の中心課題は, 共感による情報伝達であり, それは 自分の主観が自分以外の対象の主観を動かすことで, 自分に固有の境界を横断する跳躍(=「主観のジャンプ」)をどう実現するかである.

これは, 閉鎖的な共同体を越えて意味のネットワークを広げることの鍵でもある.

ヘルメス的「主観のジャンプ」とは ?

事実をただ集めて客観的結論を演繹するのではなく, ひとつひとつの場面にコミット メントし, かつ, そこからわきいでる跳躍力によって 閉鎖的な「専門領域」の境界を越えて情報をつなぐ こと.

ヘルメス: ギリシャ神話のコミュニケーションの神であり商業(連結)の神でもある.

ヘルメス的精神は飛翔の精神で, 「細部に息づいている生き生きとした意味を見て 取れる」こと, すなわち, 部分から全体を理解する超越を意味する.


ネットワーク組織では, 変化する市場との相互作用の中で, (人や組織, 情報の間に)新しい関係が生まれ, (情報の)意味が問い直され, 自/他の境界が引き直され, 目的がとらえ直され, 共有する全体の文脈の意味が新たに肉付けされる結果, 主体的な個人が企業活動に貢献できる.


林 幸雄 (yhayashi@jaist.ac.jp)
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