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想像力を極める

江研究室 JIANG Laboratory
教授:江 東林(Jiang Donglin)

E-mail:djiangjaist.ac.jp
[研究分野]
二次元高分子、共有結合性有機骨格構造体、共役多孔性高分子、構造構築と制御
[キーワード]
有機材料、合成反応、構造構築、光・電子・触媒機能

研究を始めるのに必要な知識・能力

化学合成や材料科学に関する実験的なトレーニングが望ましいです。

この研究で身につく能力

新しい材料の合成を通じて有機およびポリマー合成のスキルをマスターできます。新奇な有機材料の構造特定に関する能力を修得できます。ガス吸着、光捕集、有機半導体、触媒、エネルギー移動、電子移動、エネルギー貯蔵およびその他の先端的な機能を開拓する能力を磨けます。

【就職先企業・職種】 化学産業、高分子産業、先端材料、エネルギー産業、バッテリー産業、環境保全

研究内容

 『環境にも人にも優しく、高効率で望み通りの有機材料を簡便に、迅速に、自由自在に創り出す』ことこそ、化学者に課せられた使命です。目覚ましい発展を遂げている分子レベルでの精緻な重合触媒設計・開発、特に反応活性中心に焦点を絞った制御は、分子量、立体選択性、不斉構造、シーケンスなどの精密制御において大きな成果を挙げたものの、より大きな視点から化学を俯瞰したとき、理想とされるべき高分子合成は必ずしも従来の概念・手法の延長線上には見えてきません。近年、従来の高分子合成反応の触媒開発に加え、反応システム全体を熱力学的な視点で捉えた『動的化学反応による高分子構築』が提唱されています。特に、次元を規定して高分子を2次元に成長させ、高分子シートやシートの結晶化による有機骨格構造体の構築を可能にすることや、望み通りの高次構造を創り出すことで精妙な高分子合成が達成されています。2次元成長に伴い、高分子骨格に規則正しく配列したナノ細孔が生まれ、高度に発達した有機多孔構造が内蔵されます。モノマー構造、結合パターン、熱力学的な要素を駆動して反応全体を統合的に考慮した動的化学反応による高分子構造体の戦略的構築、従来の高分子での「1次構造制御」から「望み通りの高次構造を設計して創り出す」ことへの脱皮こそ精密有機材料の鍵となります。本研究室では、このような精密制御された新奇な有機材料をターゲットにし、材料合成・機能開拓を通じて、エネルギー問題や環境問題の解決に新しい材料プラットフォームを提供することを念頭において実験研究を行っています。

二次元高分子分野の開拓


図1.2次元高分子の例

 本研究では、独創的なコンセプトでモノマーの対称性と反応サイトの幾何学的な配置を駆使した反応系の構築により2次元成長に規定した共有結合性有機骨格構造体の構築原理を確立しました。ボトムアップとトップダウンの両手法を用いて、2次元高分子の普遍的な合成戦略を確立し、特に原子層や少数多層構造を作り上げることを目指しています。原子層および多層構造ならではの機能の開拓を行っています。

共有結合性有機骨格構造体分野の開拓

 本研究では、「モノマー開拓」、「動的化学反応開発」および「重合反応制御」に注力し、2次元成長パターンおよび骨格トポロジーを制御することで、望み通りの2次元有機構造を合成できる手法を開拓しました。2次元有機構造における光・電子・ホール・励起子の相互作用の解明を通じて、世界に先駆けて「光捕集アンテナ機能」や「蛍光発光機能」、「超高速光誘起電子移動および電荷分離機能」、「高速電荷運搬機能」、「優れた光電変換機能」などの特異な光・電子機能を見出しました。高分子骨格に加え、多孔構造の補完的な利用を提唱し、多孔壁を自由自在に化学修飾できる普遍的な手法を確立しました。この原理に基づいて、「再利用可能な有機分子触媒」や「光触媒」、「優れた電気エネルギー貯蔵」、「高容量高選択性CO2貯蔵・分離」などの新奇な機能を明らかにしました。これらの系統的な合成探究並びに機能開拓は、2次元高分子および有機骨格構造体の分野の基礎を築くものです。

共役多孔性高分子分野の開拓


図2.共役多孔性高分子の機能開発

 本研究では、特異な構造を有する「π共役多孔高分子」の構築にいち早く着目し、その設計原理を確立しました。π電子骨格とナノ空間が協奏して機能するさまざまな高分子系を開発し、π共役多孔高分子ならではの機能開拓を行ってきました。これまでに、光捕集・エネルギー伝達機能、触媒機能、蛍光発光機能、電気エネルギー貯蔵機能、分子センシング機能、有害物質の超吸着機能などを世界に先駆けて明らかにしました。さらに、最近では、電気化学的な手法を用いてπ共役多孔性高分子薄膜の作成に成功し、薄膜を用いた生体活性分子の蛍光センシングやエネルギー移動、光電変換を可能としました。これらの合成探究並びに応用開拓を通じて、π共役多孔高分子の分野の基礎を築くものです。

主な研究業績

  1. Covalent Organic Frameworks, Xiao Feng, Xuesong Ding, Donglin Jiang*, Chem. Soc. Rev. 41, 6010-6022(2012).
  2. Stable, Crystalline, Porous, Covalent Organic Frameworks as A Platform for Chiral Organocatalysts, Hong Xu, Jia Gao, Donglin Jiang*, Nature Chem. 7, 905-912(2015)
  3. Rational Design of Crystalline Supermicroporous Covalent Organic Frameworks with Triangular Topologies, Sasanka Dalapati, Matthew Addicoat, Shangbin Jin, Tsuneaki Sakurai, Jia Gao, Hong Xu, Stephan Irle, Shu Seki, Donglin Jiang*, Nature Commun.6:7786. DOI: 10.1038/ncomms8786(2015).

使用装置

核磁気共鳴装置、X 線回析装置
透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、X 線電子分光装置

研究室の指導方針

 二次元高分子、共有結合性有機骨格構造体、共役多孔性高分子の設計、合成および機能開拓のプロジェクトにおいて、日々の実験および知的交流を通じて化学、物理および材料科学に対するバックグランドの範疇を広げるとともに理解を深めます。研究に対して自ら問題を見つける、考える、そして解決する素質と能力を養う・強化することを中心に、個々の潜在性を高めます。

[研究室HP] URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/jiang/

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