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バイオ分子から環境に優しい新機能高分子を作ろう!

金子研究室 KANEKO Laboratory
教授:金子 達雄(Kaneko Tatsuo)

E-mail:
[研究分野]
高分子合成、天然物化学、ソフトマター
[キーワード]
天然分子、生分解性プラスチック、高分子合成、高性能高分子、多糖、ゲル、液晶

研究を始めるのに必要な知識・能力

有機化学や高分子化学の分野の学生さんは研究を始めやすいと思いますが、今まで電気工学、機械工学、生物学の学生さんも立派に学位を取得してきた実績があり、どの分野の学生さんでも心配いりません。ただ、修学に対する強いモティベーションが必要です。

この研究で身につく能力

金子研究室には2つの研究の軸があります。一つ目は生体分子の化学重合による高性能バイオプラスチックの開発で、二つ目は天然物由来高分子の化学修飾・加工による新機能材料の開発です。どちらのテーマにおいても、各種分子構造がどんな物性を誘導するのかという構造物性相関について徹底的に教わることが出来ます。またテクニカルには構造解析に関する基礎的な分光学的技術(NMR、IR、UV-vis)、成型加工法、熱物性・力学物性の評価方法が身につきます。ただ、テーマにより少し異なり、一つ目のテーマの場合では化学合成法、重合方法など、二つ目のテーマでは抽出方法、ゲル作成方法なども習得できます。その他テーマにより、X線回折、CD、蛍光、クロマトグラフィー、微鏡観察法、電界紡糸法、光散乱法、超音波分子切断法など、より特殊な技術を習得出来ます。

【就職先企業・職種】 化学メーカー、自動車関連、材料全般、食品関連、化粧品関連など

研究内容


図1 水中で光照射により徐々に崩壊するナイロン樹脂


図2 史上最高耐熱の有機フィルム


図3 ラン藻由来高分子「サクラン」の超保水性

 本研究室では多官能性バイオ分子をナノからマクロなレベルで階層的に構造制御することで、環境適応型材料を開発することを目指し、以下の研究を行っています。

1.イタコン酸の活用による海洋分解性プラスチックの開発

 海洋プラスチックゴミ問題は地球レベルにおける問題へと深刻化しています。その根本解決となる生分解性プラスチックの中で海洋環境で分解するものはほとんどありません。そこで、金子研では使用時には耐久性の高いプラスチックとして問題なく使用できる一方、いったん海洋に出ると光と水の刺激により分解性へと変化するプラスチック開発を行っています。中でも、大量に生産されている生体分子の一つであるイタコン酸を用いたナイロン開発法を初めて見出しました。また、このナイロンが光と水による刺激応答により水溶化し崩壊することが分かりました(図1)。本研究は、内閣府主導の超大型プロジェクトであるムーンショット事業のプロジェクトマネージャーとして採択されました。このように、金子研では生体分子を用いて数々の新規環境適応型ポリマーを合成しています。

2.複雑な分子の重合と新構造高分子の化学合成

 ファイトモノマー(植物由来モノマー)には、石油化学では合成の難しい多官能性の複雑な構造の分子が多く含まれます。ノーベル賞学者のフローリーは多官能性分子から高分岐型高分子が形成される理論を示しています。高分岐鎖とは樹木のように多数の枝を持つ分子鎖構造であり、周りの環境変化を鋭敏に感知し材料に新機能を与える素晴らしい分子建築の概念です。天然分子の形から教わる新奇高分子ナノデザインは無限にあります。金子研ではあらゆる化学反応を駆使し高機能グリーン材料を開発するためのERCA環境研究総合推進費(代表者)および 内閣府SIP2(分担者)という国家プロジェク トを遂行し、 史上最高耐熱性の有機フィルムの合成に成功しさらなる高耐熱化を目指しています(図2)。

3.微生物生産型高分子の機能化と高性能化

 バイオ高分子の最も効率の良い生産方法は、微生物に直接高分子を作らせることです。金子研では大気中の二酸化炭素を固定し、酸素を放出する光合成微生物の一種であるラン藻からバイオ高分子を取り出し環境低負荷型材料を開発することを目標としています。その中で、日本固有のバイオマスであるスイゼンジノリが作る「サクラン」を発見し、その抽出と材料化を進めてきた結果、超保水剤(図3)として世界各国で使用されるに至りました。また、サク・レという保水繊維の開発にも成功し現在各地のデパートで販売されています。現在、マイクロ分子としての構造解析を行うなど最先端研究を展開しています。

主な研究業績

  1. J. Phanthuwongpakdee, S. Babel, S. Dwivedi, K. Takada, T. Hirayama, T. Kaneko, Anion-scavenging Biopolyamides from Quaternized 4-Aminocinnamic Acid Photodimer, ACS Sustain. Chem. Eng. 8(5), 104147 (2020).
  2. A.Nag, M.A.Ali, H.Kawaguchi, S.Saito, Y.Kawasaki, S.Miyazaki, H.Kawamoto, D.T.N.Adi, K.Yoshihara, S.Masuo, Y.Katsuyama, A.Kondo, C.Ogino, N.Takaya, T.Kaneko, Y.Ohnishi, Ultrahigh Thermoresistant Lightweight Bioplastics Developed from Fermentation Products of Cellulosic Feedstock, Adv. Sus. Sys. 5(1), 2000193 (2020)
  3. K.Budpud, K.Okeyoshi, M.Okajima, T.Kaneko, Vapor-sensitive materials from polysaccharide fibers with self-assembling twisted microstructures, Small, 16(29), 2001993 (2020).

使用装置

各種NMR(1H、13C、多核相関法、固体法など)
高分解能赤外分光装置、紫外可視分光、円二色性分光
SEC-MALLS、HPLC、PDA、LC-MS、GPC
GC-MS、熱分解GC、紫外線LED アレイ、SEM、TEM
DSC、TMA、TG-DTA、レオメータ、引っ張り試験機

研究室の指導方針

社会で即戦力として活躍できるよう国際展開力を持つ人材になるための基本的マナー、考え方、物事の進め方を指導することから始めます。また週一回、個別議論の場を作り、定期的に研究成果をまとめて発表する機会も与えます。また、情報習得能力を培うために雑誌会における発表も重視しています。最近では、多くの企業が英語を使う能力では無く「度胸」を持つ学生を欲しています。金子研ではその度胸を身につけられるよう留学生と気楽に接する機会を多く作ります。これにより本当の会話力が自然と身につきます。皆で楽しく成長していきましょう。

[研究室HP] URL:http://www.jaist.ac.jp/~kaneko

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