真っ赤に添削された論文原稿に奮い立つ

 2008年にJAISTの前期課程を修了し、印刷系の企業に就職したのですが、2年ほど勤めた頃に以前の研究を続けたいと思い立ち、後期課程に入りました。仕事を辞めてもいい覚悟でしたが、幸い会社に在籍したまま、古巣である宮田一乘先生の研究室に戻ることができました。

 CG等を研究領域とする宮田先生の下で、私が前期に取り組んだテーマは、テクスチャーと呼ばれる平面上の質感や模様、凹凸の表現で、これを自動生成するアルゴリズムの開発にあたりました。後期ではその延長として3次元での構成へと発展させていきました。このテーマはもともと宮田先生の専門であり、せっかく当該領域で一流の研究者である宮田先生のところに行くのだから、なるべく近い分野に関わって、その技や考えを盗んでやろうと目論んだのです。宮田先生に限らず、JAISTに入学してまず感じたのは、先生が別格に賢く、それぞれの分野の第一人者が揃っていることでした。生半可な気持ちではとても太刀打ちできないと、恐ろしく感じたものです。研究生活では、とにかく論文をたくさん書き、宮田先生からは文字通り真っ赤になった“丁寧な”添削が戻されました。それが悔しかったので、論文を書き続けて、結果的に30 本ほどの原稿を仕上げ、10件程度の賞を受けることができました。また、学会に出席する機会が増えたことで、人脈を広げるという自分の目標につながることにもなりました。先生の助けや整った設備なども大きな助けになり、納得できる結果を出せたことを嬉しく思っています。もろもろ運が良かったと思っています。

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