理論情報科学領域【浅野研究室】
■ 研究概要
本研究室では,アルゴリズムに関する研究,特に幾何学的な問題を効率良く解くためのアルゴリズムを開発する研究を行っていますが,幾何問題に限らず,コンピュータグラフィックス,コンピュータビジョン,ロボティックスなど幾何的計算により高速計算を可能にする分野の研究も行っています。
■ アルゴリズム研究の楽しさ
1.非常に時間がかかっていた処理を高速化
ひらめきに頼らなくてもアルゴリズム設計技法をよく理解していれば大丈夫です。また,アルゴリズム開発用のライブラリLEDAを用いれば複雑なアルゴリズムも簡単に実装できます。詳しくは拙著「LEDAで始めるC/C++プログラミング」(サイエンス社)を参照して下さい。
2.性能保証つきの近似アルゴリズムの開発
難しい問題に対しては近似解を効率よく求めることも重要ですが,単なる発見的手法より,最適解との差が理論的に保証された方法の開発が大切です。
3.人間にとっては簡単でも計算機には苦手
人間は目という武器を用いてグローバルな情報を手に入れることが可能ですが,計算機は数値情報だけで計算を進めるので,人間にとって簡単なことが難しかったりします。
4.計算誤差に強いアルゴリズムの設計
数値を有限の桁数で近似して扱っている以上,計算誤差は避けられませんが,計算誤差があっても暴走しないアルゴリズムの設計が求められています。
■ 最近の研究から
画像を印刷機で出力するには明度情報をインクを置くか置かないかの2値情報に変換する必要があります。入力に忠実な出力画像を得るためには,色の変化に合わせてインクを置く場所を決めなければなりません。本研究室では,平面を与えられた点の勢力圏に分割するボロノイ図を利用した斬新な方法を開発しました。

ボロノイ図の例 |
国際会議での招待講演:
理論計算機科学に関する国際会議(ICCSA, CATS, European Conference on Computational
Geometry, Canadian Conference on Computational Geometry)など幾つかの国際会議において招待講演を行いました。
国際活動:
計算幾何学に関するすべての国際ジャーナルのエディタとして活躍しています。その他,国際誌 Theory of Computing
System のエディタも勤めています。過去には,計算機科学において引用回数が多いことで知られている速報国際誌Information
Processing Letters のアジア代表のエディタの責任も果たしました。
受賞:
2001年3月に世界の情報処理学会に相当するACM学会からフェローの称号を贈られています。これは日本人として7人目の快挙です。
■代表的な著書・論文
- 浅野哲夫,「アルゴリズムサイエンス:計算幾何:理論の基礎から実装まで」,共立出版,2007年
- 浅野哲夫,「アルゴリズムサイエンス:入口からの超入門」,共立出版,2006年
- T. Asano, J. Matousek, and T.Tokuyama “The distance trisector
curve,” Advances in Mathematics, Vol. 212, Issue 1, pp.338-360,
2007