人工知能領域【東条研究室】
■ はじめに
われわれの脳を解剖したところで知能という実体は見つからない。仕方ないから最初は欲張らずに知能を外から眺めよう。人間は言語という手段で自分の思考を外に発することができる。とりあえずこれを知能の発現と考えようか。さて,計算機が言語を受け入れてくれるには一定の形式=論理を要求する。われわれの言語はどのくらい論理的か,あるいは論理はどれだけわれわれの言語に近づけるか?言語と論理は,外から見た知能を計算機という鏡の上に映すことができるかどうかを決めるカギである。
■ 最近の研究テーマから
ロボットは料理を作れるか
日常言語に含まれる論理的な要素の中でも時間の問題は厄介である。われわれは無意識にテンス(未来と過去)やアスペクト(動作状態や完了状態)を使い分けているが,それが時間軸に沿ったプロセスに書き直せるだろうか?仮りに手先の器用なロボットができたとして,料理のレシピ文を読ませたら,その手順をちゃんと理解しておいしい料理を作ってくれるだろうか?このテーマは文の中の時間関係を下図のようなタイムマップに書き出そうというものである。

楽譜を言語にたとえてみたら
言語には文法がある。文法が網羅されていれば計算機にだって文が作り出せる。では一列の文字の並びだったら何でも規則化して文法にできるだろうか?例えば遺伝子の配列は?例えば楽譜は?下図は日常言語の文法理論を使ってモーツァルトのソナタの構造を表示したものである。その骨格が見えてくる。

進化するエージェント
子供はなぜ正しく文法を獲得できるのだろう。子供を計算機内のエージェントとして実装し,多種の言語にさらすことで,世代ごとにどの言語が優勢になっていくかをシミュレーションする。未知の言語が現れることも。

■代表的な著書・論文
- 浜中雅俊,平田圭二,東条敏:音楽理論GTTMに基づくグルーピング構造獲得システム,情報処理学会論文誌Vol. 48,
No. 1,2007
- 東条敏:言語・知識・信念の論理,オーム社,2006
- T. Koga and S. Tojo : Tense and Aspect in Polymodal Interval Temporal
Logic, IWCS-72007