ikeda lab

やりがいのある上海インスタンスの生成


背景と目的

 上海というパズルゲームがあります.マージャン牌の山から,特定のルールに基づいて同種の牌を2個ずつ取り除いていき,牌を全部消すことを目的としたパズルです. 牌を全部消せば解答ですが,問題によって牌の初期配置は異なります.
 このゲームの大きな特徴として,牌の取り方によって解答の成否が確率的になるという点があります. 別の牌がちょうど真上に乗っていると,下の牌の種類がわからないため,牌の取り方によって解答に成功したり失敗したりします.
 さて,このゲームでは牌の配置の可能性を総合的に考えた場合に,良い手と悪い手があります.良い手は解答の確率が上がるような手のことです. しかしたまに良い手が裏目に出て解答に失敗することがあります.例えば,隠れた牌の配置が非常に珍しい配置になっていて解答失敗になる場合です. しかしこういう問題は,遊ぶ人にとって大きなストレスになりえます.

 そういった,上級者ほど逆にクリアの確率が下がってしまうような牌の初期配置(インスタンス)ではなくて,
遊ぶ人の技量が正しく反映されるようなインスタンス(やりがいのあるインスタンス)の生成が研究の目的です.

アプローチと結果概要

 まず我々は上海パズルをゲーム木探索で解くソルバ解答器の中で, 性能の高いソルバと性能の低いソルバを用意しました.
 これら2つのソルバに色々な種類のインスタンスを解かせ,強いソルバの方が確かに多くの問題をクリアできることを確認しました. その上で,
 ・強いソルバにも弱いソルバにも解ける問題
  →誰にでも簡単に解け,やりがいに欠けるインスタンス
 ・強いソルバにも弱いソルバにも解けない問題
  →難易度が高すぎるインスタンス
 ・強いソルバには解けず弱いソルバに解ける問題
  →確率的な最善行動があだになる理上尽なインスタンス
 ・強いソルバに解けて弱いソルバに解けない問題
  →解く人の技量が反映される,やりがいのあるインスタンス
という分類を行うことに成功しました.また分類した問題が本当に解きがいのあるものになっているかを評価するため被験者実験を行いました.

研究担当者,業績,リンク等

・本研究は主に大町洋(2014卒)が担当しました.
・本研究では以下の論文が採録されました.
 - 大町 洋,佐藤 直之,池田 心:
  複数ソルバを用いた上海ゲームのインスタンス生成
  第31回ゲーム情報学研究会,pp.126-129(2013-11)