離散多面体変形システムの構築に関する研究


研究の目的

離散多面体は、計算機上では数値が全て離散値であることが考慮された三次元物体の表現方法の1つである。 本研究では、この離散多面体を用いて、 離散多面体で表現された物体からの形状情報の抽出法を確立することを目的とする。

背景

昨今のコンピュータ資源の急激な発達によって、 コンピュータ上で画像を扱うことは当たり前の事になっている。 CPU処理能力の向上や記憶装置の大型化によって、 大きな計算量と記憶容量を要する2次元画像の動画や、 3次元画像がアミューズメント、医療、設計、 シミュレーションなどの分野で利用され、 ネットワーク上でも日常的にやりとりされている。 さらに最近では、時間軸も含めた4次元画像を扱う機会が増えている。 CGの分野では3次元画像の動画、3次元物体の変形などがある。 また3次元画像処理においては 領域抽出の分野で、抽出領域を表す物体を変形させ、 画像中の対象物体に対してフィッティングさせる手法が多用されている。 これらは全て3次元デジタル画像中の3次元物体の変形であると考えることが出来る。 ここで、物体の変形を扱うためには画像中の物体の形状情報が必要になる。 例えばここで風船を膨らませるという物理的なシミュレーションを考える。 この時の変形は、分裂する、穴が空くなど位相幾何学的な変化は起こさずに 表面積は出来るだけ小さく維持しつつ、体積を増やしていく。 このように対象物体の体積や表面積などの幾何学的な形状情報や 物体の数などの位相幾何学的な形状情報が、 ある条件を満たすように変形を行わせたりする。 このように画像中の物体の形状情報は変形を制御する要素として用いられている。 また画像処理、画像認識の画像中の物体の個数、空洞の有無、トーラス有無のなどの 位相幾何学的な形状情報はもっとも基本的、かつ重要な要素であると言える。 ここでコンピュータ上での表現の特徴を考えると、 コンピュータの上では有限桁での数値しか扱うことはできないので、 その数値は空間的な値も時間的な値も全て離散値であるといえる。 つまり一般にコンピュータ上で表現される3次元実空間の物体は 格子点に標本化された離散的な点を用いて表現される。 よってこのような離散化された、 コンピュータに独特のデータ構造をもつ画像のための 画像中の物体の形状情報の算出の手法が必要になる。 そこで、本研究では データ表現には 特にコンピュータ上で利用することを考慮した、 離散化された空間での3次元物体の表現方法の一つである 離散多面体を用い、 この離散多面体からの形状情報の算出アルゴリズムの検討を行い、 文献\cite{剣持}の定義と併せてコンピュータ上に実装を行う。

BACK


野村 敏章 (Nomura Toshiaki)