──先生はシンセサイザーの研究開発など、おもしろい経歴をお持ちですね。
自然楽器を中心にして成り立っていた音楽工学や和声学を新しく立て直そうという研究です。電子的に作った音を人に聞いてもらって、音の物理量と心理量との関係を整理する理論を作ったのです。
|
 |
──それから未来工学研究所に出向されたんですね。
一転して社会工学・未来工学、情報化社会の研究などを始めました。それから研究所にもどって研究企画やR&Dマネジメントをやったんですね。国際的に日本がイノベーションを起こした電子カメラとかファクシミリなど、当時いろいろ考えたんですよ。
──JAISTでは「研究開発プロセス論」講座をご担当ですね。研究ポリシーをお聞かせください。
実践を非常に重視しています。研究の基本方針は、(1)実践を重視する、(2)体系化に注力する、(3)方法論(手法・ツール)を確立する、ということです。
私は企業の出身ですから、最終的には社会に役立つような研究にしたい。大学で研究したことや学んだことは実践に役立って初めて意味があるのです。
──企業での豊富な経験を体系化するということですね。
人はいろんな経験やノウハウを個々に持っていますが、それは固有のもので一般化されていません。学問としては完成していないのです。私がこれまで企業で積んだ経験をここで体系化して、経営力強化に貢献していきたいと考えています。
|