──まず、『i-System』はどういったことを目指すものなのでしょうか? 「調」の部分で住民に意見を出してもらいます。そして「理」で情報を集積し、「想」でシミュレーションをする、「縁」で社会を巻き込んでいく。そして「統」でそれらを統合して、問題の解決策、つまり知識を出力します。全体としてさまざまな側面から物事を見るということです。 ──「理」「想」「縁」の各部分は、具体的にはどんな役割を果たすものなのでしょうか? 「理」は、法則のことです。情報の集積やモデル作成など、数学的・科学的なアプローチを行います。これは「Scientific Front」とされています。 コンピュータシミュレーションで実験をし、将来を予測するのが「想」です。現実のデータに基づきますが、あくまで想像です。科学的なアプローチでは人の心は分からないし、動かすことはできません。また問題が複雑すぎる場合ぴったりしたモデルはできません。具体的にはコンピュータを用いて大規模シミュレーションを行います。これは「Creative Front」です。 「縁」は、たとえば河北潟を守るグループがどのようにできたかなど、人が組織をつくっていく過程を明らかにする、社会科学的アプローチです。人間の気持ちの部分に訴えかける「Human Front」です。
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3つの知で討議することを社会に提案する入口が「調」です。複雑な困惑状況(issues)を問題(problem)として定式化する役割を持ちます。 「理・想・縁」の3つの知を統合して、社会的な意思決定を導き出すのが「統」です。全体としての知識の創出を目指すものです。 ──これらの各部分は、それぞれ学生の方が研究を担っているということですね。 学生はそれぞれの部分で研究活動をしていますが、実際の問題解決のためには彼らの研究を統合することが必要です。 ──それは、文理融合の場を提供するという知識科学研究科の目標にもつながりますね。 そうですね。これらを実践していくことで、学生には、社会に出て自分で問題を発見し、その問題を定式化して解く方法を考えられるようになってほしいと考えています。 ──現時点ではどのように研究を進めていらっしゃいますか? 2001年度は、『i-System』の中でIntelligenceとImaginationの部分の研究に重点をおき、3グループに分かれて研究を進めています。
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