# All documents are now in Japanese, sorry. ■■ 崩珠というゲームについて 能書き ■ ぷよぷよ: 崩珠は,言うまでもなく「ぷよぷよ」をベースにしたゲームです. ぷよぷよは1991年に発売され,1994年の「ぷよぷよ通」ではルールの大幅な改良により 多くのファンを獲得した,アクションパズルゲームです. 有名さではテトリスに一歩譲るものの,落ちモノの代表格であるといえます. 他の対戦ゲーム(多くは格闘ゲーム)と同様,ぷよぷよ通には多くの達人プレイヤーが育ち, 高度な戦術・芸術的な連鎖・驚異的な操作で見る人を驚かせ楽しませてきました. これだけ多くの人に長い間支持されたのは,それだけこのゲームが完成度の高い, 奥深いものだということでしょう. コンピュータゲームというのは基本的には消費されるものであり, 発売されて何年もすればめったに遊ばれることはなくなるものです. 一方で囲碁や将棋などは,千年以上の歴史を経ていまだに遊ばれており, また一生続けても飽きないゲームとされています. ぷよぷよには,それらの仲間入りができるのではないでしょうか? ■ ぷよぷよのアクション性 ぷよぷよには多くの要素があり,それに伴って面白さや必要な技術があります. 連鎖を組むこと,相手の弱点を突くこと,牽制と駆け引き,そしてその速さ. 達人同士の戦いでは,基本的に操作に躊躇は許されず,1秒にも満たない時間で 全ての要素を考慮して着手を決定,操作する必要があります. このことは,テトリスをはじめとする落ちモノ,あるいはレースゲームや 格闘ゲームなどでは普通のことであり,またその楽しさや達人の凄さを否定するものではありません. しかしながら,もしこれを戦略ゲーム・思考ゲームと捉えるのならば, 1手を考えるための時間が非常に限定されていること,また遅い操作が大きな不利を招くことは 面白さをそぐ結果になっていると言えるでしょう. 例えば囲碁や将棋が,一手一秒だったり,非同期ゲームだったりしたら・・・, じっくり考えることもできないし,お年寄りが遊ぶこともできなくなってしまいます. ■ 崩珠のコンセプト: 崩珠は,簡単にいうと「ぷよぷよからアクション性をなくしたゲーム」です. アクション性がぷよぷよの面白さの一つであることを認めながらも, あえてそれを除くことで,戦略ゲーム・思考ゲームとしての面白さを強調し, また初心者や年配の方にも連鎖を組む楽しさを知ってもらいたいという願いがあります. 崩珠の設計にあたってはあと2つ,ランダム性を弱くすることと, 強いコンピュータを作るということを重視しました. ランダム性はマージャンやトランプなどにもある,本質的な要素です. 一方で,1ゲーム数分のアクションパズルならともかく, 何十分も緊迫した戦いをしながら運の良し悪しで決着がついてしまうことは好ましくありません. 崩珠では,邪魔珠の落下位置を予測可能にする,ある色がずっと来ないといった不運をなくす などの工夫をすることで,ランダム性を弱め,実力が結果に反映しやすいようにしています. 市販されているぷよぷよのコンピュータは,お世辞にも強いとはいえません. アクションパズルであれば,多少弱くても手ごわい相手を作ることは可能ですが, 達人同士の戦いのように10連鎖を超える打ち合いなどは期待できませんでした. 囲碁や将棋では,コンピュータの強さが人間に迫りつつあります. 崩珠でも,上級者さえも楽しめるようなアルゴリズムを開発したい, また多くの人が開発できるような環境を整えたい,と考えています. ■ 崩珠の発展に向けて: 我々は,崩珠を多くの人に(ゲームとして,研究対象として)楽しんでもらいたいと思っています. そのために,ソフトウェアの改善,開発ツールの改善,情報公開,対戦サーバ設置,大会の開催などを 積極的に行いたいと考えています. さらに,ゲームのルールを洗練させることが極めて重要だと思っています.現在のルールは, アクション性の除去・ランダム性の低減以外は「これで決まり」というようなものではありません. 例えば,段差のある2地点に配珠を落下させるいわゆる「ちぎり」は, 本ゲームではペナルティがありませんが,ぷよぷよでは進行の遅れを生じ忌避されます. このことが挟み込みに代表される連鎖法を発展させる原動力となっており, ペナルティなしがよいのか議論されるべきでしょう. フィールドサイズが7x11であること,邪魔珠が一気に降ること,またその計算式, 全消しの有無やマージンタイムなど,違いは他にもいくつかあります. もう一つ,ゲーム発展のために重要なのは,「良いハンデのつけ方」を考えることです. 例えば囲碁では,コミや置石というハンデによって,相当の力量差があったとしても ゲームの面白さをあまり減じることなく,上手下手(うわて・したて)両者が楽しむことができます. 崩珠でも幾つか方法はありえますが,一長一短の感は否めません. ・色数.下手を3色にしたり,上手を5色にしたり. ・見えている珠数.下手を7〜8個にしたり,上手を4〜5個にしたり. ・邪魔珠計算式.下手をX倍したり,上手を 1/X にしたり. ・降る珠数の調整.計算式と相殺は変更しないが,実際に降る際に下手側を 1/X にしたり,上手を X倍したり. ・持ち時間.下手を長く,上手を短く. ・フィールド.下手を大きくしたり,上手を小さくあるいは最初から邪魔珠があったり. ・ターン飛ばし.上手は Nターンに一回,着手機会を飛ばされる. これらを考えていくことは,一研究室だけでできるものではありません. ぜひ,みなさんのお知恵を. 2011-03-07