発表者:並川淳(橋本研M2) タイトル:圏論による複雑系の形式化について アブストラクト: 複雑系の形式的記述をテーマに発表を行う. まず最初に,形式化を行う際に使用する圏論について,簡単に説明を行う.その際, 数学的な定義だけでなく,なるべく複雑系記述に関連した形で紹介することを試 みる. 次に,先行研究として辻下徹の研究を紹介する.辻下の研究は,「複雑系において 不定性は本質的であるため,それを記述する数学にも不定性を導入する必要があ る」という立場をとっていると考えられ,そのような様相を記述するための道具 として高次元圏論を用いている.よって本発表では,圏から高次元圏への拡張の 道筋を示しながら,高次元圏論の持つ不定性に付いて説明する. 最後に,自身の研究について発表する.創発現象を「ある対象を記述するルールが 複数存在する系」を記述することが目標であるが,このような系を形式的に記述 するためには,まずルールを比較する方法が必要になる.これは一般には同値関係 によって分類すると考えられる.よって本発表では,この同値関係をどのように 導入するか,現時点でのアイデアを紹介する. 「発表の項目」 *圏論の紹介 圏の定義 関手 limit と colimit 米田の補題 随伴関手 巾および開集合の圏 *なぜ高次元圏論か?(辻下徹の研究紹介) 「高次元圏論入門」[1]の序文の紹介 多重圏の紹介 2圏(狭義2次元圏)の紹介 高次元圏の紹介 *自分の研究のアイデアの紹介 参考文献 [1]辻下徹「高次元圏論入門」北海道大学大学院理学研究科講義 (http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/doc/announce/am98.html