発表者:並川淳(橋本研M2) タイトル:ルールの複雑さとダイナミクスについて アブストラクト: 生命の起源,生態系の進化,言語の変化などに見られるようなルールの変化の問題に対し, 関数が動的に変化する系のミニマルモデルを用いて考察する. 生態系の進化や言語の変化などに共通する問題として,いかにして簡単なルールから複雑 なルールへと変化したかという問題がある.例えば,単細胞生物から多細胞生物の発生, 言語の文法の進化などは,いかにして複雑なルールを獲得したかという問題を含んでいる. しかしルールの複雑さそのものを定義する事は困難である.よって本稿では,ルールの複雑 さを測る尺度として関数の冗長度を定義する. 次に,ルールのダイナミクスを表現するために,関数が変化する力学系の定義する.一般に, 状態空間とその上の変換が定められているものを力学系という.もしルールを関数として 表現するなら,変数の変換ではなく関数の変換として力学系を定義する必要がある.一方で, 代数系における準同型写像はある種の関数の変換として考える事ができる.よって本稿で は,準同型写像の拡張として関数の変換を定義し,その力学系のもつ性質を調べる. 最後に,シミュレーションの結果を示し,いかにして簡単なルールから複雑なルールへと変 化するかについて考察する.