発表者:佐藤 尚 日 時:2003/11/13(木)15:30- 場 所:知識2棟2階セミナールーム 内 容:研究進捗状況の報告 Abstract  新モデルによるシミュレーション実験の結果を紹介する。  オリジナルモデルでは、各個体がランダムに選択された 1個体を固定パートナーとし、そのパートナーのt-1ステップでの 出力値を受け取っていたが、これでは個体同士が相互に作用し合う という形にはなりにくかった。そこで新モデルでは、自分以外の 全員のt-1ステップでの出力値も受け取るように拡張した(なお、 自律的に内部状態を変化させるエージェントがMinorityGameを プレイするという点は変わりない)。  この拡張により、1エポックあたりに学習させるデータセット数を 増やすことなく、また、学習方法を変更することもなく、オリジナル モデルによる実験では見られなかった2周期以上のゲームの ダイナミクスが観察された。さらに、各ステップでゲームに勝った 個体たちのID番号を調べてみると、ステップ毎にグループ単位で勝敗が 入れ替わる、すなわち、tステップで勝った個体達はt+1ステップでは 負けて、逆にtステップで負けた個体達はt+1ステップでは勝つという 振る舞いが観察された。  これは秋山が提案した「3人提携ゲーム」や柴田らの「衝突回避ゲーム」で 見られたコミュニケーションの創発によって引き起こされた協調行動と 類似しており、学習を通して個体達が「組織的協調行動」を創発させる 可能性があることを示している。