担当:金野 日時:08/03(Thu)15:30〜 場所:コラボレーションルーム 2 内容:意図性の理解にアプローチする認知実験の紹介と    私の研究の位置付けに関する考察 概要: ヒトの社会的なコミュニケーション能力を,意図を理解する能力という観点か ら捉えようとする立場がある。その立場では,意図を形成しつつ理解し,他者 と共有することの重要性が指摘されている。 私の研究では,乳幼児が原初的に形成する意図的主体性が,意図を理解する能 力の基盤になるという仮説に着目し,その意図的主体性を計算モデルとして構 成してみることで,乳幼児に形成される社会性がどのようなものであるのかを 理解しようとしている。 しかし私の研究において,計算モデルから表出した行動の内部状態として,目 的と手段が分離することが意図的主体性の実体であると主張しているにも関わ らず,そもそも,認知実験で観察される行動から意図的主体性がどのように定 義できるのかが明らかではない(あくまでも自分の知識不足として)。 そこで今回の茶ゼミでは,自分が引用する認知発達心理学の文献[1]を遡り, 意図性というものが認知実験からどのように明らかにされようとしているのか を紹介する[2]。その認知実験の結果に,自分の構成する計算モデルが表出す る結果をどのように位置付けることができるのかを検討したい。 参考文献 [1] Tomasello,M.,``Joint attention as social cognition,'' In Moore,C. and Dunham,P.J.(Eds.), Joint Attention: Its Origins and Role in Development, Lawrence Erlbaum, pp.103-130,(1995), (訳書:ジョイント・アテンション,ナカニシヤ出版,pp.93-117,(1999)). [2] Frye,D.,``The Origins of Intention in Infancy,'' In Frye,D. and Moore,C.(Eds.), Children's theories of mind, Hillsdale, NJ:Erlbaum, pp.15-38,(1991).