担当:山田 広明 日時:10/26(金)15:30- 場所:コラボレーションルーム2 内容: 論文紹介 "Exploiting Social Networks to Mitigate the Obesity Epidemic" 概要:  クリスタキスとファウラーにより肥満や幸福という特性が社会ネットワークを 通して拡散することを報告されてから(Christakis 2007, Fowler 2009), 社会ネットワークが個人の健康(生活習慣や幸福感)に強い影響を与えている事が 知られる所となった.同時に,効果的な予防・治療のためには,その点を考慮に 入れた戦略的計画が必要であることが認識されつつある.しかし「友人や家族が 太るとその人も太る可能性が高い」ことが事実だとして,どのような介入戦略が 効果的なのか.友達と一緒にダイエットをする・痩せた人と友達になるなどの 表面的なアイデアはよく聞かれるが,大規模な政策的介入の立案に資するような 合理的・科学的な知識は乏しい.そのため,近年,社会関係と個人の健康の関係の 解明を目指したネットワーク分析研究(e.g. 上の2研究)やエージェントベースド シミュレーション研究(e.g. Yang 2008, Bahr 2009, Auchincloss 2011)が行われている.  紹介する論文では,先行のネットワーク分析研究(Christakis 2007)により 明らかになった肥満拡散の形態(相互作用のパターン,クラスタ構造ができること)に 基づき,セルオートマトンでその相互作用の過程をモデル化した.シミュレーションにより, 主要なパラメータには関わりなくクラスタ構造が形成・拡大されることが確認された. 続いて,クラスタ拡大を抑制する方法の検討という形で,肥満拡散を予防する効果的な 介入方法を考察する.シミュレーション結果については概要の説明程度にとどめ, メカニズムモデルの検討からどのように政策的提案を展開しているかを中心に紹介する. 最後に,このモデルが扱えていない論点についても指摘したい.当モデルは社会関係が 個人の行動に及ぼす影響のみを問題にし,個人が社会関係を再生産・再構成している という事実を無視している. 論文:"Exploiting Social Networks to Mitigate the Obesity Epidemic", Obesity (2009) 17, 723–728 PDF: http://www.nature.com/oby/journal/v17/n4/full/oby2008615a.html Speaker: Hiroaki Yamada Date&Hour: 26 October (Fri) 15:30- Place:Collaboration Room 2 Title: Paper review "Exploiting Social Networks to Mitigate the Obesity Epidemic"