担当:橋本敬 日時:1/11(金) 14:30- 場所:7Fセミナー室 内容:複雑系科学の立場から考える観点から社会科学の自然化:自然化すれども還元せず 主流派の経済学では,個人の選好を最大化する行動を行う合理的経済人という 人間像に基づき,経済や社会の動きを説明しようとして来た.一方,行動経済 学,進化心理学,認知科学,脳科学,人類学などの人間行動に関する自然科学 では,社会的な状況における人間行動について解明が進みつつあり,合理的経 済人の前提が成り立たない場合が多いことが示されている.そこで,これら近 年の人間の社会性に関する自然科学的な研究成果をベースとして人間像を新た に作り直し,それをもとに経済,制度,文化といった社会の問題を論じる社会 科学を構築すべきと考える.これは社会科学の自然化の試み,すなわち,社会 科学に自然科学的な説明をつける,あるいは,自然科学と接合する動きである. しかし,社会とは個の集まりに還元できない創発性を持つものと考えられる. 複雑系科学の立場からは,社会において創発するものと個々人の間にある複雑 なフィードバック相互作用を重視し,循環的な因果関係も認める.また,近年 の脳科学などの発展においても,社会的な状況における「個人」の意思決定や 感情などが扱われているが,社会そのものを扱っているわけではない.以上の 考察より,社会科学を自然化すべきではあるが,個体の社会的行動に還元すべ きではないという主張を展開する. Speaker: Takashi Hashimoto Date & Hour: 11 Jan (Fri) 14:30- Title: Naturalization of social science from the viewpoint of complex systems science: The social science is naturalized, but is not reduced