担当:山田 広明 日時:3/28(金)15:30- 場所:コラボレーションルーム2 内容: 論文紹介 "Social Capital and Endogenous Preferences" 概要:  本論文は,自発的協力の程度をソーシャルキャピタルの程度として定義する. そして,自発的協力を生み出す選好が集団内で安定的に定着する条件を探す. これはSCが内生的に生じる条件を探すことを意味する.  選好の内生的な変化は,個体間の相互作用特性や構造(つまり制度(家族,友人,仕事関係など))が 規定していると考えられるので,集団に与えられる制度とSCの創出の関係も検討する. 本論では制度として「他者の選好について知れるかかどうか(相手についての情報の完全/不完全さ)」 という側面に注目し,それとSCの創出の関係を検討する.  具体的には,利他的(Altruistic),互酬的(Reciprocator),即物的(Materialist)という三種類の選好タイプを 持つ人々が混在する集団を考え,彼らが社会的ジレンマに晒されている状況を想定する. その状況下で「一回限りの囚人のジレンマゲームにおいて自発的協力をおこなうこと=SC」と定義して, 集団内での選好の進化を通して(レプリケータダイナミクスでモデル化),SCが創発・定着する条件を探る.  主な結果は次の3点である. 1) 十分高い確率で情報が得られれば最大量のソーシャル・キャピタル(全員自発的に協力)が定着する. 2) 情報を得られる確率が減れば減るほど,ソーシャル・キャピタルは減る. 3) ある点より確率が下がると,集団は互酬的と即物的選好に支配される(SC低い状態). →従って「他者の選好についての情報の不完全さは,社会的な選好が生き残ることを弱める」と主張する. 論文:“Social capital and endogenous preferences”, Poulsen, A. U. and Svendsen, G. T., (2005), Public Choice, 123(1-2), 171-196. PDF: http://www.researchgate.net/publication/5154423_Social_Capital_and_Endogenous_Preferences/file/9fcfd50c6245e6d6e9.pdf Speaker: Hiroaki Yamada Date&Hour: 28 March (Fri) 15:30- Place:Collaboration Room 2 Title: Paper review "Social Capital and Endogenous Preferences"