言語の起源と進化〜構成論的方法によるアプローチ 橋本 敬 概要: 人間は言葉を話す動物である。チンパンジーなどの他の動物も彼らなりのコミュ ニケーションシステムを用いるが、人間の言語はそれらとは異なる特徴を持っている。 この人間言語はどのように発生しいかにして今のような姿になったのかという疑問、 すなわち、言語の起源と進化という問いは昔から人々の興味を惹き付けてきた。近年 の様々な研究の発展により、ようやくその疑問に科学的に答えていけるのではないか というところまで来た(答えが出たわけではない)。本講演では、言語の起源と進化 の問題を概観するとともに、構成論的アプローチ、すなわち、対象となるシステムを 作って動かすことにより理解を試みるという手法により言語の起源と進化に迫ろうと する研究を紹介し、その可能性について議論したい。