北陸先端大におけるゲノムネットの運用について

北陸先端科学技術大学院大学
知識科学研究科 佐藤賢二

  1. ゲノムネットとは何か

    ゲノムネッ トは、ゲノム解析および関連する医学・分子生物学・薬学などの学術研究 を促進することを目的として、1991年から京都大学化学研究所スーパーコンピュー タラボラトリ(以下SCL)およ び東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター(以下HGC)によって運用が開始さ れたインフラストラクチャです。世界中で各種のゲノムデータがほぼ指数関数的に増加 していく状況の中で、大量のゲノムデータを交換するための専用のネット ワークおよび大規模なスーパーコンピュータシステムを用いて、この分野にお いては国内はもちろん世界でも最大級の統合的ゲノム解析サービスを提供し続 けています。当初は ftp や電子メールを用いたサービスが主でしたが、現在 ではかなりのサービスがWeb経由で どこからでも利用できるようになっています。実際、国内お よび海外から頻繁に利用されており、高い評価を受けています。

  2. どういうサービスが受けられるのか

    以下ではWebを中心に御紹介します。他にもftpや電子メールを使ったサービス があります。詳しくは

    「ゲノムネットのデータベース利用法 第2版」
    高木利久 金久實 編 、共立出版
    ISBN 4-320-05486-5、2800円
    を御覧下さい。

  3. 北陸先端大におけるゲノムネットのサーバ

    北陸地方におけるゲノム解析研究の促進と活性化を目的として、北陸先端大の Sun Enterprize 3000 (4CPU、メモリ512MB、ディスク256GB、ホスト名 db1)を用いて、SCLおよびHGCの協力のもと、1998年9月より試験的に ゲノムネットのサーバを運用してきました。2000年11月からは Sun Ultra 80 (4CPU、メモリ4GB、ディスク1TB、ホスト名 gd1) にサーバ機能を移 し、現在に至っています。このマシン上では、FASTAやBLASTなどの解析サービ スに加えて、DGBET/LinkDBやKEGGなど、SCLやHGCとほぼ同様のことができます。 特に Webサーバに関しては、 SCLおよびHGCのWebサーバと全く変わりなく御利用頂けます。データベースの 更新は毎日自動で行なわれ、SCLやHGCとほぼ同じ状態を保ち続けます。

  4. 単なるミラーサーバではそれほど意味がないのではないか

    大量のゲノムデータを扱って研究開発を進める場合、ゲノムネットのサーバが 使用しているファイルを直接扱えることは非常に有益です。例えば、 佐藤研の関係者ならばgd1 に、そうでないJAISTの方は db1 にログインして、/bio/db/ideas 以下にあるファイル 群を御覧下さい。これらのファイルに対して研究者独自のスクリプトを走らせ ることで、Webで提供される以外のゲノム解析研究を自由に行なうことが可能 になります。また、直接ゲノム解析研究と関係なくても、既定のフォーマット で格納された大量の情報は、シミュレーションやデータベースなど情報処理の 研究材料としても有益だと考えます。ちなみに gd1 では、大雑把に 見積もって、現在 530GB 程度のディスクを消費してこのサーバを運用していま す。

  5. gd1db1 にログインしても bfind などのコマンドが見つからない

    source /bio/lib/cshrc.ideas でパスや環境変数などの設定が大体 できると思います。それでもうまくいかない場合は 佐藤まで御連絡下さい。 また、gd1 では locate コマンドが使えますので、ファイ ル名の一部を憶えていれば locate パターン などとして瞬 時に探すことが出来ます(例:locate mew)。

  6. 同じデータを自分のワークステーション上でも使いたい

    北陸先端大の標準ネットワーク環境であるFRONTIERの一部として、automount 設定に gd1 のデータベース領域を組み込んでいます。これにより、 FRONTIER配下のワークステーション群の一部または全域において、ゲノム データベースを参照することが可能になっています(別のページを参照)。

  7. データの利用にあたって何か注意することは

    ゲノムネットは「学術研究目的」に限定して利用することが求められています。 もちろん、Webやftp経由のサービスに関してはこの制限は当てはまりませんが、 db1 にログインしてゲノムネットサーバの内部データを御使用にな る場合は、必ず「学術研究目的」で御利用下さい。特に商行為を目的とする利 用は絶対になさらないよう強くお願い致します

  8. その他

    御質問・御意見等なんでも結構ですので、お気軽に佐藤までお寄せ下さい。特 に、ゲノムデータを本格的に研究に使用したい場合は御一報頂けると助かりま す。宜しくお願い致します。


Kenji SATOU <ken@jaist.ac.jp>
Last Updated:Oct 18 2001
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