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山本研究室

ナノマテリアルから生まれる
新しい科学を楽しむ

山本研究室 YAMAMOTO Laboratory
准教授:山本 裕子(YAMAMOTO Yuko S.)

E-mail:E-mai
[研究分野]
ナノ材料、表面増強分光学、量子光学
[キーワード]
ラマン分光学、表面増強ラマン散乱、ナノマテリアル、金属材料

研究を始めるのに必要な知識・能力

「とにかく研究が好き!」「とにかく実験が好き!」「大発見したい!」「大発明で世の中を良くしたい!」この中から最低一つ、まさに自分に当てはまると思えること。これが当研究室で研究を始めるにあたって必要な能力です。実現に必要な知識や、技術の習得の仕方は教えます。大きな野望を持つ学生さんも大歓迎です。

この研究で身につく能力

新しいなにかを、自らの手で切り開く力です。これは世の中のあらゆる場面で役立ちますが、教えられる機会はさほど多くありません。新しいなにかを自らの手で切り開くには、現在を正しく知る感度の高いアンテナ、適切な問題意識と問題解決能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力、文章執筆能力を含む高い言語能力、加えて資金や周囲の賛同を得る人間力、これら全てが求められます。これらの全てが、研究を遂行する中で身につくようにバックアップします。また、修了後・在学中の留学や、ベンチャー企業の設立も支援します。

【就職先企業・職種】 化学系企業、起業等

研究内容

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図. 表面増強ラマン散乱法測定の概略図

 ナノメートルオーダーの世界は、未解明の謎で満ちている。これだけ科学が進んだ世の中にあって、ナノ世界は今も未知のフロンティアです。ナノ世界にはとびきり面白い現象がまだまだ世に知られぬまま隠されていて、発見されるのを今か今かと待っている。私は今、日々の研究を進める中で、ますますこう実感するようになりました。
 そこで当研究室では、ナノメートルオーダーの世界が生み出す新しい物理化学現象に着目しており、例えば以下の研究を進めています。

1.強結合 新しい光学現象を生み出すナノスケール創成場

 1970年代に、表面増強ラマン散乱(Surface-enhanced Raman scattering, SERS) という現象が発見されました。これは、物質に光を当てたときにごくわずかに現れる「ラマン散乱光」が飛躍的に増強する現象のことです。SERS効果は当初、銀のナノ構造体表面で発見されました。そして、発見から50年経った現代。なぜラマン散乱効果が飛躍的に増強するのか、そのメカニズムがおおよそ明らかになりました。
 さらに私たちは、ラマン散乱効果が飛躍的に増強する「ホットスポット」で「強結合」という現象が起きており、この「強結合」状態が別の新しい光学現象を生み出していると発見しました。
 ホットスポットは正に、ナノ世界に存在する未知のフロンティアの一つです。私たちは銀ナノ粒子がつくるホットスポットでの強結合を、さらに深く、詳しく調べ続けています。

2.表面増強ラマン散乱(Surface-enhanced Raman scattering, SERS)

 上記の通り、SERSは1970年代に発見され既に50年経っています。しかし未だ目立った実用化例がないことから「Sleeping Giant (眠れる巨人)」と呼ばれています。一方でSERSは人のこころをどこか魅了するのでしょう、巨人を眠りから覚まそうとSERS研究へ新規参入してくる研究者は後を絶ちません。
 私たちの研究グルーブでは、銀ナノコロイド粒子を使ってSERSを研究しています。銀ナノコロイド粒子は1997年に初めて1分子だけのSERS測定に成功した、極めて重要な実験系です。
 その銀ナノコロイド粒子を使って、私たちの研究グループメンバーの一人が最近「希土類元素のSERS」という新しい研究分野の開拓に成功したので、次に説明します。

3.希土類元素とSERS

 希土類元素(レアアース) は原子番号57番~71番に位置する非常に重い元素で、地球上にほとんど存在しないことから希土類元素と呼ばれています。希土類元素は最外殻の電子配置が互いに似通っているため、化学的な手法でその種類を同定することが難しい問題があります。
 当研究室では2023年、希土類元素を含むキレート分子のSERSを測定することで、間接的に希土類元素であるLa(ランタン) とGd(ガドリニウム) を互いに識別することに成功しました。これは世界的に見て非常にユニークかつ重要な研究成果であり、2023年に開催されたICORS国際会議にて口頭発表されました。

4.金属材料と電気化学

 当研究室ではまた、金属材料科学と電気化学の境界領域での研究もスタートしています。まだ詳しくお伝えすることができませんが、世界に大きなインパクトを与える大きな研究成果を期待しながら研究を続けています。
 参考文献・これまでの研究業績に関する論文にご興味がある方は、お気軽に指導教員までメール( yamamoto2.gif)または指導教員室へお越しください。論文の別刷(論文のコピーのこと)を差し上げます。

主な研究業績

  1. Jin Hao, Tamitake Itoh and Yuko S. Yamamoto, “Classification of La³⁺ and Gd³⁺ rare earth ions using surface-enhanced Raman scattering”, Journal of Physical Chemistry C, accepted to JPCC.
  2. Tamitake Itoh and Yuko S. Yamamoto, “Electromagnetic enhancement spectra of one-dimensional plasmonic hotspots along silver nanowire dimer derived via surface-enhanced fluorescence”, Journal of Chemical Physics 160, 024703 (2024)
  3. 山本裕子 , “ プラズモンと分子の電磁相互作用の基礎”, 応用物理学会フォトニクスニュース, 9(2), 68-72, 2023.

使用装置

表面増強ラマン顕微鏡(自作)
密度汎関数(DFT)計算装置

研究室の指導方針

 世界トップレベルで基礎研究を行うための、自由闊達な研究環境を提供しています。当研究室にはコアタイムがありません。各自が自由な時間で研究を組み立てており、そのスタイルを奨励しています。研究室内のメンバーとの情報交換・互いの進捗の確認は、週一回の全体ミーティングおよび輪講セミナーにて行います。そのため、自律的にしっかりと研究生活を組み立てられるタイプの学生の方に適した環境です。
 自らの研究成果を世に発信するため、年1回程度の学会発表を推奨しています。研究テーマの設定は、指導教員が提示する研究テーマを参考に、個々の学生さんの興味範囲・方向性を取り入れつつ最大限希望に添う形で行います。基本的に、研究成果は国際論文(英語)という形で世に広く発表することを目指していきます。プロの研究者を志望する方にお勧めです。
 もちろん、指導教員による個別指導を随時行います。指導教員の持つ知識や経験をどんどん活用してください。

[研究室HP] URL:準備中

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