濱田 勉 研究室

濱田 勉 准教授

生命機能工学領域
濱田研究室 濱田 勉 准教授

ソフトマター物理学に基づき高度な機能を有する人工細胞を設計する

私たちは、生体物質を対象に、物理学的アプローチによる研究を行っています。これまでに、人工細胞膜の作製と構造の制御に成功し、その仕組みを解き明かしています。

膜ダイナミクスの創出とソフトマター物理学による解析

細胞膜をはじめ、細胞内に存在するミトコンドリア、核膜、小胞体などは、脂質分子が集まった同じ膜構造を有しています。細胞は、細胞膜を変形させることで外部の物質を包み込み、内部に取り込みます。また、細胞内で作られたタンパク質分子などは膜の変形運動により外へ運び出されます。こうしたダイナミックな膜変形は、細胞の機能として重要であり、私たちは、この膜変形(ダイナミクス)を人工的に創り出すことに取り組んできました。

たとえば、光によって膜が開閉するというダイナミクスです。これは光に応答して分子形状が変化する合成脂質を膜に混合することで可能となりました。紫外線の照射によって、円盤型に開いていた膜が曲がり、ふちが閉じて球型になります。逆に、可視光線の照射によって、球型に閉じていた膜に穴が生じ、円盤型に開いている状態に戻ります。この膜システムを利用すれば、溶液中の物質(ナノ粒子など)を小胞内に取り入れたり、放出させることが可能です。

さらに、このような人工膜に対して、その制御のメカニズムをソフトマター物理学を使って解明します。つまり、どのような力によってその運動がおきているのか、数理モデルによって解析します。ソフトマター物理学とは物性物理の一種です。伝統的な物性物理が、金属やセラミックスなどのハードマターを対象とするのに対し、ソフトマター物理は、高分子や液晶、コロイド、生体物質などの「やわらかい」物質を扱う新しい学問です。

人工細胞膜の応用とさらなる展開

細胞膜表面とナノ物質との相互作用のメカニズム解明は、医薬学、バイオマテリアル、ナノテクノロジーなど多くの分野において重要な研究テーマです。私たちの細胞膜作製技術・物性解析手法は、細胞膜に対するナノ物質の作用を明らかにする理想的な実験システムを提供できます。

たとえば、毒性ペプチドの膜に対する作用の研究として、アルツハイマー病原因子であるアミロイドβペプチドを用いた実験を行っています。細胞膜は、液体状態と固体状態の2種の相状態が共存しており、この不均一な膜表面を人工的に再現できます。顕微鏡観察により、膜表面でペプチドが作用する領域が、膜の不均一性に依存して、変化することを発見しました。

今後、膜構造の設計と制御の知見に基づき、DNA分子や運動を支配する細胞骨格タンパク質を内部に導入し、自律的に応答・運動する高度な細胞機能を備えた人工細胞システムの設計へも取り組みます。

濱田研究室の紹介
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ソフトマター物理学に基づき高度な機能を有する人工細胞を設計する

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