金子 達雄 研究室

金子 達雄 准教授

環境・エネルギー領域
金子研究室 金子 達雄 准教授

金子研究室

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金子研究室

地球環境を守る、植物由来の高性能エコマテリアルの創出

本研究室では、地球環境保全をモチベーションに、バイオマスに着目した環境適応型材料を高分子ナノ構造制御によって開発しています。
主な研究は2つです。一つは、新規多糖類の「サクラン」の構造や物性の解明と応用、もう一つは高性能バイオプラスチックの開発です。

驚異の物性をもつ巨大高分子サクラン

Aphanothece sacrum、和名「スイゼンジノリ」は、日本固有種かつ希少な寒天性藍藻で光合成バクテリアの一種です。現在、九州で養殖されています。
私たちが、この藍藻から抽出した多糖類サクランは、分子量1600万という他に類のない巨大高分子です。超高分子量でありながら高い溶解性を有することに特長があります。溶液粘性、保水性、金属イオン吸着性、低濃度液晶性などにおいて、他の多糖類を凌駕する物性を示し、さまざまな分野への応用を進めています。

たとえば、高分子吸水体であるヒアルロン酸の約10倍もの保水力を活かし、すでに化粧品として実用化されています。
また、特定のレアアースやレアメタルを効率よく吸着することから回収剤の実用化を研究中です。サクランは金属イオンを吸着するとゲル化し、これに荷電することでサクランから金属イオンを分離し、還元された金属は電極表面に析出します。この方法を用いて、液晶パネル製造プロセスなどから排出される廃液からインジウムを回収する技術に取り組んでいます。

このほかにも、サクラン溶液中に不溶性物質を分散させると、その高い粘性によって安定的に分散状態を保つことから分散剤としても利用できます。たとえば、カーボンナノチューブは通常、その溶媒不溶性が表面修飾を困難にしていますが、これをサクラン溶液中に分散させれば、成膜などが可能になります。さらに、サクランには創傷治癒効果や抗炎症作用なども認められており、創傷被膜剤や抗アレルギー剤など医薬品へも応用できます。

世界トップの耐熱性と力学強度を持つバイオポリエステル

生物資源を原材料とするバイオプラスチックは、内部に二酸化炭素を長期間固定することから、二酸化炭素の削減に有効であるといわれています。一方、バイオプラスチックの大半を占めるポリエステルは、耐熱性や力学強度に難点があります。例えば、ポリ乳酸の耐熱温度は約60℃、強度は60MPa程度です。

私たちはポリフェノールの一種である桂皮酸類に注目し、これまでに耐熱温度300℃超のバイオポリエステルを開発しています。しかし、その力学強度の低さが実用化への壁でした。液晶高分子の合成には、酸基置換によるエステル体生成を連続的に行うアシドリシス重合を使いますが、その際の副反応が力学強度を低下させます。重合触媒となる弱アルカリ性の塩や金属は、表面が二酸化炭素に覆われやすく、活性能が低下しがちです。こうした触媒をポリフェノールに適用すると反応時間が遅延し、その構造を乱すのです。逆に、より強いアルカリ塩を使うと、別の副反応である加水分解が発生してしまいます。

そこで、表面が二酸化炭素に覆われた状態でも弱アルカリ性を保つ天然層状鉱物のハイドロタルサイトを触媒として用いたところ、副反応を抑えた状態で重合が進み、明確な構造のバイオポリエステル樹脂を得られました。ハイドロタルサイトがアシドリシス反応で効率的な触媒として働くことを発見したのは、大きな成果の一つです。

さらに、この高配向性のポリエステルは、ガラス繊維の表面で液晶配向性を高度に示すというユニークな現象も見出しました。従来のポリエステルは、外力で強制的に配向させる必要があるため、ガラス繊維強化プラスチックを効果的に得ることは困難でした。しかし、私たちのポリエステルは、ガラス繊維を入れて融解状態で圧縮するだけで配向性に優れた高強度プラスチックになります。こうして、145MPaという力学強度、10GPaの弾性率、305℃の耐熱温度を持つバイオポリエステル樹脂の開発に成功しました。

スーパーエンジニアリングプラスチックレベルの性能を得られたことで、自動車など輸送機器のエンジン周りに利用すれば、自動車の軽量化が図れます。さらに、二酸化炭素や産業廃棄物の削減などさまざまな応用が期待できます。

金子研究室の紹介
(4:56)

地球環境を守り、社会の多分野で役立つ、高性能エコマテリアルを創出する

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