水谷 五郎 研究室

水谷 五郎 教授

応用物理学領域
水谷研究室 水谷 五郎 教授

“光の倍音や和音”で観る世界

非線形光学現象とは、レーザーのように強い光を物質に入射した場合に、入射光電場に比例しない光学的応答が生じる現象です。そうした現象のうち、物質中で2つの光子が融合し、和のエネルギーをもつ1つの光子を発する現象は二次の非線形光学効果とよばれます。私たちは、この光学現象を用いた独自の顕微鏡を作製し、固体の表面界面や生体を観察しています。

私たちが基本原理としているのは、光第二高調波発生(Optical Second Harmonic Generation:SHG)と光和周波発生(Optical Sum Frequency Generation:SFG)です。

光第二高調波発生

SHGは光の倍音発生ともいわれ、電磁気学的には、周波数ωの光が物質に入射して2ωの光が発生する現象です。この現象は中心対称性のない部分で発生するため、構造選択的に物質を観察できます。また、中心対称性のある分子の集まりでも、切断すれば境界面の分子は中心対称性が崩れ、表面選択的な観察が可能です。また、SHGは、量子力学的には、エネルギーhωをもつ2つの光子が物質に吸収され、エネルギー2hωをもつ1つの光子が発生する現象です。SHGの過程は、入射光のエネルギーhωやその2倍のエネルギー2hωが、物質中電子の基底状態から励起状態への遷移エネルギーに近付くと共鳴的に増強することから、電子準位の分光測定が可能です。

光和周波発生

SFGは、周波数ω1の光と周波数ω2の光が物質に同時入射し、これらの和の周波数ω1+ω2=ω3の光が発生する現象です。SFG分光測定では可視光と赤外光を用い、赤外光の周波数を物質の分子振動準位に一致させることで共鳴によるSFG光が増強し、物質の振動スペクトルが得られます。SFGもまた、表面界面や非対称構造の物質に対する選択性を有します。さらに、物質の振動スペクトルにより物質を識別することも可能です。
私たちは、このSFGを用い、超高真空用SF顕微鏡と共焦点SF顕微鏡を開発しています。これらの装置は、本研究室のオンリーワン技術です。

従来法では見えないものを観る

これらSH顕微鏡やSF顕微鏡を使い、半導体界面、光触媒反応、表面吸着現象などに対し、表面現象進行中の電子状態、ボンド配向の分布または秩序を解明しています。例えば、赤外光パルス照射した水素終端Si(111)表面を観察し、光脱離後の水素の分布や未結合手の分布像を得ています。この技術は、半導体の光CVDなどにおける表面反応の解析へ応用が期待できます。
また、水草中のデンプン粒子の分布を生体非破壊状態で観察し、その糖種を識別したり、モチゴメ種子胚乳内の糖種分布を検出したりといったユニークな成果も上げています。

サイエンスで冒険しよう!

非線形光学顕微像の特質は、非対称部分の選択性、言い換えれば、均一とのずれを強調するところにあります。それは、対象の一部を誇張するピカソの画法に類するような面白さでもあります。
サイエンスとは、広く真理を探索し、その成果を世界と分かち合うものであり、それは冒険に似ていると思います。このサイエンスという冒険の醍醐味を、学生の皆さんにも感じてほしいと思います。


水谷研究室の紹介
(6:37)

非線形光学効果によって観察する固体表面や機能性界面の活性

水谷研究室の紹介

非線形光学効果によって観察する固体表面や機能性界面の活性

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