村田 英幸 研究室

村田 英幸 教授

応用物理学領域
村田研究室 村田 英幸 教授

村田 研究室

高性能有機電子デバイスの開発を支える
基盤技術を構築する

有機エレクトロルミネッセンス(EL)は、日本で近年、活発に研究が行われている分野です。プラズマや液晶以上の薄型、高画質、低電力を可能にする次世代ディスプレイと目され、すでに携帯電話や小型テレビの表示部などで実用化されています。

村田研究室では、新規の物質合成から電子デバイスの作製と評価まで一貫した体制を整え、有機電子デバイスの研究に臨んでいます。

有機EL素子の耐久性向上の技術

大量の電荷を注入した有機薄膜中での物理過程を解明することで、有機EL素子の理論限界の打破をめざしています。とくに、大電流流入時の有機分子の劣化過程を、厳密に制御した環境下で測定することにより、有機材料を用いた電子デバイスの耐久性がどこまで到達できるかを明らかにします。これまでに、有機EL素子におけるITO電極/有機界面と有機/有機界面のキャリア注入障壁の低減によって、素子の大幅な長寿命化を実現しています。

例えば、ITO電極上に正孔注入層として0.75nmの超薄膜酸化モリブデンを形成したところ、駆動電圧の低減、エネルギー変換効率の改善、素子寿命の顕著な向上を確認しました。さらに、正孔輸送層と発光層の界面に混合層を形成することで、駆動電圧が34%低下し素子寿命が約9倍に向上するという特性を得ています。

有機薄膜太陽電池

有機EL素子の研究を通じて得られた知見を応用して、有機薄膜太陽電池の高効率化の研究に取り組んでいます。例えばITO電極/有機界面の電子状態制御を行う事で、太陽電池の開放電圧が0.6Vから1Vに増加する事が分かりました。この電圧値は、太陽電池に使用している有機材料の物性から予測される理論限界に近い値です。

秩序構造を制御した共役系高分子薄膜の気相成長

π共役高分子が、その分子構造から予想される優れた機能性をいまだ確認されていないのは、溶液重合の場合、薄膜中で伸びきった分子鎖が形成されず、分子鎖上でのπ電子の非局在化がなされていないためと考えられます。本研究室では、π共役系高分子のエピタキシャル気相重合によって、共役系高分子の化学的純度や秩序構造を極限に高めたπ電子系ナノワイヤの開発を進めています。

これまでに、シリコン基板に有機分子を直接化学結合させる手法として、シリコン基板表面をアミノ化する化学修飾法を開発しました。続いて、アミノ基終端シリコン基板を加熱し、モノマーを真空蒸着することで、基板上にモノマー分子を垂直に固定することに成功し、モノマーの重合による共役系高分子の成長も確認しました。最近では、金属酸化物基板上に有機分子を直接化学結合させることにも成功しました。今後は、基板上に固定した有機分子を起点としてモノマーを重合することで、基板に直接結合したπ電子系ナノワイヤを実現する事を目指します。