谷池 俊明 研究室

谷池 俊明

物質化学領域
谷池研究室 谷池 俊明 准教授

探索・学習・予測のシナジーを実践する次世代マテリアル設計

材料科学が直面する課題

 今世界は、水・食糧の不足、エネルギー・資源の枯渇、環境・災害といった緊喫の問題を抱えています。我が国は、少子高齢化によってマンパワーが不足し、グローバル化や情報伝播の促進によって技術の優位性が低下するという逆境の中、国際的な競争力を保ったまま世界規模の問題に取り組まなければなりません。
 一方、年々高度化する材料科学研究においては、完全に新規な材料を発見するための余地が徐々に減少し、材料開発に必要な投資量も一途に増加しています。資源に乏しい日本では、材料科学研究は、改良を旨とするプロセスイノベーションから新領域や新規市場を生み出すプロダクトイノベーションへと転進していかなければなりません。しかし、プロダクトイノベーションには、未踏の分野に挑むというリスクの高い研究が課せられ、これは少子高齢化社会にとっては厳しい挑戦です。
 これまでの材料科学研究は、仮説を実験によって検証する作業を繰り返し、膨大な実験量をマンパワーで処理する方法論を主流としてきました。少子高齢化の中でプロダクトイノベーションを実践するためには、こうした従来法からの脱却が必要です。

谷池研究室のミッション

 谷池研究室は、このような社会情勢や材料科学の動向を背景にして2013年に発足しました。私たちのミッションは、探索・学習・予測という3本柱の方法論によって、従来の経験的なアプローチに代わる新しい材料設計アプローチを研究し、優れた材料と新しい考え方を持つ次世代の材料科学研究者を世に輩出することです。

ハイスループット実験による検証の加速と材料フロンティアの探索

 これまで、材料開発のために研究者が一つひとつ行っていた、合成から評価に至る一連の実験プロセスを自動・並列化するハイスループットモジュールを開発します。開発したモジュール群を駆使して、一日に50-100個に及ぶ材料を合成・評価し、膨大な候補材料の中から真のフロンティアを発見します。谷池研究室では、仮説検証のための繰り返し実験をマシンに任せ、研究進展のための調査や思考にパワーを集中します。

多変量解析によるデータ解析と学習

 材料の物性や性能は、単一の因子ではなく多くの因子に従っており、物性は多変量関数として表すことができます。私たちは、ハイスループット実験で得た数百から千のデータを多変量解析によって分析することで、材料の構造と性能との相関を見出し、続く材料探索実験を最大効率化します。一方、多変量解析の中の特異的なデータ点は、プロダクトイノベーションにつながる候補材料として重要です。大量のデータを統計的に処理し、失敗結果も含めたすべてのデータから学習することで、より良い材料や反応条件に関する知見を得ます。

コンピュータによる新規材料の予測

 計算科学の発展は複雑な材料の現実的なシミュレーションを可能にしました。計算科学では、材料の構造に分子モデルをたてることによってその物性を計算することができますが、材料の分子構造を実験的に観察することは非常に困難です。私たちは、実験と計算科学を相互支援的に組み合わせ、各種の実験データを再現する高精度な分子モデルを構築し、これによってコンピュータによる新規材料の予測に取り組んでいます。

 私たちは、以上に説明した新しい方法論のシナジーを武器にして、触媒、高分子、ナノ材料に至るまで、プロダクトイノベーションを期待できる様々な先端材料を研究しています。

谷池研究室の紹介
(8:18)

探索・学習・予測のシナジーを実践する次世代マテリアル設計

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