芳坂研究室 芳坂 貴弘 教授

Photo: 芳坂 貴弘 教授

〈専門分野〉拡張遺伝子工学、生体高分子科学、化学生物学
〈キーワード〉バイオマテリアル・デバイス、ライフイノベーション、人工タンパク・DNA、化学生物学、遺伝子工学

遺伝暗号を拡張した人工タンパク質合成システムの開発と応用

研究内容

1. 4塩基コドンを用いた非天然アミノ酸のタンパク質への導入

 タンパク質はDNAの遺伝情報に従ってアミノ酸が連なって合成され、それが精密な立体構造を形成することで、高度な機能を発揮しています。しかし生物が使用しているのはわずか20種類のアミノ酸のみです。私たちは、この20種類の制限を越えて、人工的に合成した「非天然アミノ酸」をタンパク質の特定部位に導入することのできる、新たな技術の開発に成功しています。これは、拡張遺伝暗号「4塩基コドン」に非天然アミノ酸を割り当てる、という全く新しい概念によって達成されています。
 さらにこの技術を利用することで、光応答性などの人工機能を持ったタンパク質の創製を行なっています。また、この技術の基礎となる新しい非天然アミノ酸や人工トランスファーRNA、人工メッセンジャーRNAの開発も行なっています。加えて、バイオベンチャー企業とも協力して、この技術の事業化を積極的に推進しています。

2. タンパク質の新規構造機能解析法の開発

 上記タンパク質合成システムを利用して、蛍光プローブアミノ酸や蛍光標識アミノ酸などをタンパク質へ導入し、細胞外あるいは細胞内において、タンパク質がどこでどのような形でどのように機能しているのかを調べるための新規手法を開発しています。さらにその手法を、病気の原因となるタンパク質の発見やそれに対する薬剤開発にも応用しています。これは国内外の研究機関・企業との共同研究により進めています。

4 塩基コドンを用いた非天然アミノ酸のタンパク質への導入法
蛍光標識アミノ酸の導入によるタンパク質の構造機能解析
-蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による解析-

3. 生物の潜在能力を利用した新たなバイオ技術の開発

 「4塩基コドン」のように、生物が持っている潜在能力は実は沢山あると考えられています。現在のDNA研究に不可欠なPCRやDNAシークエンシング技術も、生物が持つDNA複製機能の潜在能力を利用したものです。私たちは、そのような生物の潜在能力に基づいた新たなバイオ技術の開発にも挑戦し、生命化学の発展に貢献したいと考えています。

使用装置

DNAシークエンサー、蛍光イメージアナライザー、リアルタイムPCR、超高感度蛍光測定装置、超微量分光光度計、LC/MS、HPLC、分子間相互作用測定装置

過去5年間の主な研究業績

  1. Y. Ito, T. Hohsaka, Incorporation of fluorescent nonnatural amino acid into sialic acid-binding lectin for fluorescence detection of ligand-binding, Bull. Chem. Soc. Jpn., 86, 729-735 (2013).
  2. A. Yamaguchi, T. Hohsaka, Synthesis of novel BRET/FRET protein probes containing light-emitting proteins and fluorescent nonnatural amino acids, Bull. Chem. Soc. Jpn., 85, 576-583 (2012).
  3. R. Abe, H. Ohashi, I. Iijima, M. Ihara, H. Takagi, T. Hohsaka, H. Ueda, Quenchbodies : Quench-based antibody probes that show antigen-dependent fluorescence, J. Am. Chem. Soc., 133, 17386-17394 (2011).
  4. I. Iijima, T. Hohsaka, Position-specific incorporation of fluorescent non-natural amino acids into maltose-binding protein for detection of ligand binding by FRET and fluorescence quenching, ChemBioChem, 10, 999-1006 (2009).
  5. 芳坂貴弘、「揺らぎ・ダイナミクスと生体機能」第6章 変異導入法、(化学同人、2013).
連絡先

芳坂 貴弘/E-mail:hohsaka@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1681 FAX:0761-51-1149
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/hohsaka/

私たちのオンリーワン技術「4塩基コドン法」は、世界の最先端レベルにあります。今後も、生物と異分野の融合によるユニークな最先端研究を進めていきます。新しい研究への挑戦を通じて、皆さんも自分自身の「潜在能力」を発掘してみませんか。