金子研究室 金子 達雄 教授

Photo: 金子 達雄 教授

〈専門分野〉エコマテリアル、天然物化学、液晶ナノ材料、微生物材料
〈キーワード〉グリーンイノベーション、バイオ・機能性ポリマー、高分子化学

π電子を操り地球を守るマテリアル設計

研究内容

 科学の発展と相まって深刻化する地球環境問題を克服することは、21世紀に生きる研究者として最大の課題と考えています。この課題を克服することは、人類の持続的な発展を約束出来るだけでなく、地球を住処とする他の動植物との共存を永続することに繋がります。以上の観点から、本研究室では環境に優しい材料を最先端の科学技術を駆使して開発することを目的としています。特に、非常に高機能であるπ電子反応性分子種に注目しています。一方、これらの分子は環境には猛毒となってしまうことがあります。そこで、π電子系分子をナノからマクロなレベルで階層的に構造制御することで、環境毒を環境保全の特効薬に変換する技術を開発しています。

1.π電子系ファイトモノマー/ポリマーの開発

 植物や微生物から有用なπ電子系物質を産生し原料開発を行います。これらを化学変換し機能性高分子とすることで、液晶素材、有機電導体、光記録メディアなどを非石油資源から作ることができます。また、ファイトとは"植物性"という意味の接頭語ですが、本研究室ではファイトモノマーとファイトポリマーを地球環境問題の解決に向けて"戦う"有機材料源としても捉えています。

2.高分子鎖のナノデザイン

 ファイトモノマーは、石油化学では合成の難しい多官能性の複雑な構造の分子を豊富に含みます。ノーベル賞学者のフローリーは多官能性分子から高分岐型高分子が形成される理論を示しています。高分岐鎖とは樹木のように多数の枝を持つ分子鎖構造であり、周りの環境変化を鋭敏に感知し材料に新機能を与える素晴らしい分子建築の概念です。天然分子の形から教わる新奇高分子ナノデザインは無限にあります。本研究室ではこれらを実際に合成し高機能グリーン材料を開発します。

3.高性能環境適応型高分子の作成

 本研究室では高分岐型グリーン高分子の一つとして、光に応答して分子鎖のナノ構造が変化し、生分解性を示すようになる画期的な液晶性高性能樹脂の作成に成功しています。つまり、家電や自動車の耐久型部品を廃棄する時、特殊波長の人工紫外線を照射すれば、生分解性が誘発され地球に優しい植物分子に戻る究極の環境材料の概念が生まれました。

使用装置

固液両用粘弾性測定装置、蛍光偏光顕微鏡、顕微観察用力学試験器、上下回転撹拌装置、画像解析アプリケーション、ダイヤモンドATR、透明電極用超音波はんだ付け装置、バイポーラ電源、ファンクションジェネレータ

過去5年間の主な研究業績

  1. P. Suvannasara, S. Tateyama, A. Miyasato, K. Matsumura, T. Shimoda, T. Ito, Y. Yamagata, T. Fujita, N. Takaya, T. Kaneko, Bio-based polyimides from 4-aminocinnamic acid photodimer, Macromolecules, in press.
  2. S. Wang, D. Kaneko, M. Okajima, K. Yasaki, S. Tateyama, T. Kaneko, Hyperbranching Polycoumarates with Photofunctional Multiple Shape-Memory, Angew. Chem. Int. Ed. 52(42), 11143-11148 (2013).
  3. M. Ali, S. Tateyama, Y. Oka, M. Okajima, D. Kaneko, T. Kaneko, High-performance Biopolyamides Derived from Itaconic Acid and Their Environmental Corrosion, Macromolecules, 46(10), 3719-3725 (2013).
  4. M. Chauzar, S. Tateyama, T. Ishikura, K. Matsumoto, D. Kaneko, K. Ebitani, T. Kaneko, Hydrotalcites catalyze the acidolysis polymerization of phenolic acid to create highly heat-resistant bioplastics, Adv. Funct. Mater. 22(16), 3438-3444 (2012).
  5. M. Okajima, D. Kaneko, T. Mitsumata, T. Kaneko, J.Watanabe, Cyanobacteria That Produce Megamolecules with Efficient Self-Orientations, Macromolecules, 42(8), 2881-3218 (2009) (cover).
連絡先

金子 達雄/E-mail:kaneko@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1631 FAX:0761-51-1635
URL:http://www.jaist.ac.jp/~kaneko/

2006年、天然分子から教わるナノ構造制御という新しい概念のもと、地球環境保全に役立つ高性能エコマテリアルを創出する新しい研究室が出来ました。地球環境を考慮した新しい科学を共に創造しましょう!