松村研究室 松村 和明 准教授

Photo: 松村 和明 准教授

〈専門分野〉高分子化学、バイオマテリアル
〈キーワード〉グリーンイノベーション、バイオマテリアル・デバイス、バイオ・機能性ポリマー、ライフイノベーション、高分子化学

機能性高分子バイオマテリアル-生体機能の制御を目指して-

研究内容

 機能性高分子化合物を使用したバイオマテリアルや組織工学用材料の研究が盛んにされています。人工臓器やDDSには高分子化合物のようなソフトマテリアルが多く使用され、研究されています。バルクな材料だけでなく、コロイドやミセル、溶液なども一種のバイオマテリアルとして様々な場面での研究が展開されています。高分子材料はそのバルク界面で、もしくは溶液状態で細胞や組織と相互作用し、機能を制御することが可能であることがわかってきました。また、様々な場面でその機能を利用したバイオマテリアルの研究開発が行われています。
 我々は水溶液として用いることで細胞を凍結保存することができる高分子を見出し、その機序を調べると共に応用を目指しています。この不思議な現象は、電荷密度の高い高分子化合物、特に両性電解質高分子に見られる特徴であることがわかって来ました。低温生物学的には細胞などの様な水を含む高次構造体をそのまま凍結すると細胞内の水の結晶化により致命的なダメージが加わり、死滅します。そのため、ジメチルスルホキシドの様な膜透過性低分子化合物を添加して障害を軽減する方法が採られてきました。しかし、膜を透過しないと考えられる高分子化合物で細胞を凍結時のダメージから保護できるということは、これまでの常識では考えにくいことでした。従って、この現象の機序を解明することで、凍結保護だけでなく、生体組織や高次構造体の保護作用などへとつながる可能性を秘めています。我々はこの高分子をゲルにすることで、細胞保護性のハイドロゲルを作成しました。また、ナノ粒子化することでドラッグデリバリーシステムへの応用も試みています。
 再生医療や組織工学に応用可能な、生体内分解性セルロースの開発も行っています。この技術により、細胞をその中で増殖させ、生体内で細胞治療が可能な足場材料の開発が期待されます。
 また、生体組織と調和する生体材料の開発など、生体機能の再生を目的とした診断・治療の支援を行うために、材料工学の手法を用いた、基礎的ならびに応用的研究も目指しています。具体的には、再生医療のための足場材料の設計、ハイドロゲルを用いた人工関節用材料の設計など、高分子材料の観点から生物と化学の融合を目指し、さらには生体を凌駕するような機能を探求しています。



使用装置

紫外可視分光光度計、蛍光顕微鏡、細胞培養用クリーンベンチ、インキュベーター、フーリエ変換赤外分光光度計、示差走査熱量計、NMR、HPLC

過去5年間の主な研究業績

  1. S. H. Hyon, N. Nakajima, H. Suga, K. Matsumura. Low cytotoxic tissue adhesive based on oxidized dextran and epsilonpoly-L-lysine, J. Biomed. Mater. Res. A, in press.
  2. M. Jain, R. Rajan, S. H. Hyon, K. Matsumura. Hydrogelation of dextran-based polyampholytes with cryoprotective properties via click chemistry. Biomater. Sci., 2, 308-317(2014).
  3. R. Rajan, M. Jain, K. Matsumura. Cryoprotective properties of completely synthetic polyampholytes via reversible addition-fragmentation chain transfer (RAFT) polymerization and the effects of hydrophobicity. J. Biomater. Sci. Polym. Ed. 24, 1767-1780 (2013).
  4. K. Matsumura, F. Hayashi, T, Nagashima, S. H. Hyon. Long-term cryopreservation of human mesenchymal stem cells using carboxylated poly-L-lysine without the addition of proteins or dimethyl sulfoxide. J. Biomater. Sci. Polym. Ed. 24, 1484-1497 (2013).
  5. N. Vrana, K. Matsumura, S. H. Hyon, L. Geever, J. Kennedy, J. Lyons, C. Higginbotham, P. Cahill, and G. McGuinness. Cell Encapsulation and Cryostorage in PVA/Gelatin Cryogels: Incorporation of Carboxylated-Poly-L-Lysine as Cryoprotectant, J. Tissue. Eng. Regen. Med., 6, 280-290 (2012).
連絡先

松村 和明/E-mail:mkazuaki@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1680 FAX:0761-51-1149
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/matsumura_kaz/

本研究室は高分子化学に立脚した生体機能制御技術の開発を目指して2011年度より新たにスタートしました。是非一緒に独創的なバイオマテリアル研究に挑戦しましょう。