村田研究室 村田 英幸 教授

Photo: 村田 英幸 教授

〈専門分野〉有機電子デバイス、分子エレクトロニクス、共役系有機薄膜の気相成長
〈キーワード〉ICTイノベーション、グリーンイノベーション、ソフトマターデバイス、デバイス物理、太陽電池、表面・界面物性

化学と物理が融合する研究領域、ソフトマターデバイス

研究内容

 有機物質の物性研究はこれまで日本が世界をリードしてきた研究分野のひとつです。最近、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイが日本で実用化され、応用面における先進性と重要性も広く認知されるようになりました。村田研究室では、将来のユビキタス社会で重要な位置を占めることが予想される有機電子デバイスの研究を行っています。新しい物質の合成からデバイスの作成と評価まで、一貫した研究ができる体制を整えています。

1.有機EL素子のデバイス物理

 大量の電荷を注入した有機薄膜中での物理過程を解明することで、有機EL素子の理論限界の打破を目指しています。特に、大電流を流した時の有機分子の劣化過程を厳密に制御した環境下で測定することによって、有機材料を用いた電子デバイスの究極的な耐久性がどこまで到達できるかを明らかにします。これまでに、蛍光色素を添加した有機EL 素子において発光効率や耐久性が飛躍的に向上するメカニズムを明らかにしてきました。

2.新規の有機電子デバイスのデバイス設計と物性評価

 有機薄膜中への電荷注入、移動、再結合機構について詳細に理解することで高効率な有機太陽電池、有機電界効果トランジスター、有機メモリーなどの実現を目指しています。有機太陽電池では薄膜型太陽電池の高効率化を、また有機薄膜トランジスターの研究ではn型やバイポーラ型の有機電界効果トランジスターの研究を行っています。

3.秩序構造を制御した共役系高分子薄膜の気相成長

 π共役系高分子をエピタキシャル的に気相重合することによって、共役系高分子の化学的純度や秩序構造を極限まで高めたπ電子系ナノワイヤーの実現を目指しています。このような材料が実現できれば、分子構造から予測されるような究極的な電子的、光学的特性を持った材料が得られることが期待できます。また、これらの材料をデバイスに応用することで理論限界に近いエネルギー変換効率をもった電子・光デバイスが実現できる可能性があります。エピタキシャル気相重合では、共役系高分子の分子鎖長を一定の長さに揃えたり基板に対して垂直に配向させるなど、これまでの溶液重合法では不可能であった精密な秩序構造が可能になります。さらにその先の展開として、有機エレクトロニクスとシリコンテクノロジーとを融合させた新しい電子デバイスを構築したいと考えています。

使用装置

高真空蒸着装置(有機デバイス作成用)、超高真空有機デバイス作製評価装置、グローブボックス、キャリヤ移動度測定装置(Time-of-Flight法)、高分子CVD装置、昇華精製装置、ELスペクトル測定装置、EL素子評価装置、積分球(素子効率評価用)、太陽光シミュレーター(太陽電池評価用)、半導体パラメータアナライザー、共焦点顕微ラマン分光装置、XRD、ESR、AFM(SII)他

過去5年間の主な研究業績

  1. Toan Thanh Dao, Toshinori Matsushima, Rainer Friedlein, Hideyuki Murata, Controllable threshold voltage of a pentacene field-effect transistor based on a double-dielectric Structure, Org. Electron., 14, 2007-2013 (2013).
  2. Varun Vohra, Gianmichele Arrighetti, Luisa Barba, Koichi Higashimine, William Porzio and Hideyuki Murata, Enhanced Vertical Concentration Gradient in Rubbed P3HT:PCBM Graded Bilayer Solar Cells, J. Phys. Chem. Lett., 3 (13), 1820.1823 (2012).
  3. H. Yamamoto, J. Brooks, M. S. Weaver and J. J. Brown, T. Murakami and H. Murata, Improved initial drop in operational lifetime of blue phosphorescent organic light emitting device fabricated under ultra high vacuum condition, Appl. Phys. Lett., 99, 033301 (2011).
  4. Varun Vohra, Umberto Giovanella, Riccardo Tubino, Hideyuki Murata, Chiara Botta, Electroluminescence from Conjugated Polymer Electrospun Nanofibers in solution processable OLEDs, ACS Nano, 5, 5572.5578 (2011).
  5. Toshinori Matsushima Mayumi Takamori, Yuichi Miyashita, Yoko Honma, Tsuyoshi Tanaka, Hidenori Aihara, and Hideyuki Murata, High electron mobility layers of triazines for improving driving voltages, power conversion efficiencies, operational stability of organic light-emitting diodes, Organic Electronics, 11, 16.22 (2010).
連絡先

村田 英幸/E-mail:murata-h@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1531 FAX:0761-51-1149
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/murata/index.html

研究を通じて自己研鑽を積み、自分で考えて自律的に行動できる研究者を育成することを目標としています。外国人の博士研究員や国際共同研究、海外での学会発表などを通じて国際的なセンスを磨く機会が多くあります。社会貢献できる基礎科学をモットーに、基礎研究に軸足を置きつつ民間企業との共同研究も積極的に進めています。