大木研究室 大木 進野 教授

Photo: 大木 進野 教授

〈専門分野〉タンパク質NMR、構造生物学、生物物理学
〈キーワード〉バイオマテリアル・デバイス、ライフイノベーション、新計測技術、生物物理

NMRによる構造生物学

研究内容

 生物の身体はタンパク質や脂質をはじめいろいろな分子が集まって出来ています。特に3-10万種類あると言われているタンパク質は、生体内のさまざまな機能を担っています。しかしながら、これらのタンパク質に関して私たちが知っていることはごく僅かです。例えば、「私たちの身体の筋肉や内蔵はどのようにして働いているのでしょうか?」という問いに対して、いまだに十分に答えられません。このような疑問に詳しく答えるためには、それぞれの器官を構成しているタンパク質ひとつひとつの立体構造や性質を丹念に調べ、それらを組み合わせていくことが必要です。こうすることで、私たちは自分たち人間を含めた生物が生きている仕組みを知ることが出来るほか、新しい治療法開発の糸口や省エネルギー型微小部品を設計するヒントが得られるに違いありません。
 大木研究室では核磁気共鳴分光法(NMR)を主力の解析手段に用い、タンパク質の構造機能相関を研究しています。主な研究の対象は、動いたり情報を伝達するタンパク質です。具体的には、平滑筋のタンパク質や金属イオンを結合するタンパク質、あるいはモータータンパク質を研究しています。これまでに、平滑筋の弛緩と収縮を制御するリン酸化タンパク質の立体構造とその構造変化を解明することに成功したほか、カルシウム結合タンパク質の機能にアルミニウムイオンが与える影響を観測しました。現在は、国内外の複数の研究室と共同で脱リン酸化酵素やモータータンパク質の研究もすすめています。
 タンパク質の立体構造を研究する手法は、NMRとX線の2種類だけです。特にNMRは、試料を結晶化する必要がなく、水溶液中で観測出来ることや、相互作用する物質を添加しながら測定が出来る等、多くの優れた特徴があります。私たちはこのNMRの利点を活かした新規測定技術の開発にも取り組んでいます。また、多次元NMR測定に必要な安定同位体(13Cや15N)で標識した試料を調製する新規手法の開発にも取り組んでいます。

使用装置

800MHz-NMR(核磁気共鳴分光)装置、CD、SPR(表面プラズモン共鳴)、Unix/Linux ワークステーション

過去5年間の主な研究業績

  1. N. Takata, K. Yokota, S. Ohki, M. Mori, T. Taniguchi and M. Kurita. Evolutionary Relationship and Structural Characterization of the EPF/EPFL Gene Family PLOS ONE DOI:10.1371/journal.pone.0065183 (2013).
  2. S. Tomisawa, E. Hojo, Y. Umetsu, S. Ohki, Y. Kato, M. Miyazawa, M. Mizuguchi, M. Kamiya, Y. Kumaki, T. Kikukawa, K. Kawano, M. Demura and T. Aizawa. Overexpression of an Antimicrobial Peptide Derived from C. elegans Using an Aggregation-prone Protein Coexpression system AMB Express 3, 45. DOI:10.1186/2191-0855-3-45 (2013).
  3. M. Mizuguchi, M. Takeuchi, S. Ohki, Y. Nabeshima, T. Kouno, T. Aizawa, M. Demura, K. Kawano and K. Yutani. Structural Characterization of a Trapped Folding Intermediate of Pyrrolidone Carboxyl Peptidase from a Hyperthermophile Biochemistry 51, 6089-6096 (2012).
  4. S. Ohki, M. Takeuchi and M. Mori. The NMR Structure of Stomagen Reveals the Basis of Stomatal Density Regulation by Plant Peptide Hormones Nature Commun. 2, 512 (2011).
  5. S. Mori, R. Iwaoka, M. Eto, and S. Ohki. Solution Structure of the Inhibitory Phosphorylation Domain of Myosin Phosphatase Targeting Subunit 1 Proteins 77, 732-735 (2009).
連絡先

大木 進野/E-mail:shinya-o@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1461 FAX:0761-51-1455
URL:http://www.jaist.ac.jp/nmcenter/labs/s-ohki-www/

個々のタンパク質が持つ生物学的な重要性を構造の側面から解明してみませんか?