高木研究室 高木 昌宏 教授

Photo: 高木 昌宏 教授

〈専門分野〉生物物理、シグナル伝達、個体発生、ソフトマター物理
〈キーワード〉バイオマテリアル・デバイス、ライフイノベーション、人工細胞膜、生物物理

分子、細胞、個体レベルでストレスを科学する

研究内容

 研究対象は、細胞や人工細胞を用いたストレス評価、生物が感じる様々な感覚の定量化を行っています。さらに、生体系を意識した人工細胞モデルの構築も同時に行い、ストレス評価の研究へと還元していきたいと考えています。
 それぞれのテーマについて、簡単に紹介します。

1. 細胞・人工細胞を用いたストレス評価

 脂質二分子膜構造は細胞膜・核膜・ミトコンドリア等の生体膜に共通した構造体であり、内外環境を隔てるダイナミックな境界場を作りだしています。我々は、実際の細胞と併せて、生体膜とほぼ同じ組成・構造を備えた5~50μm程度の細胞サイズの脂質膜小胞(リポソーム)をモデル膜に用いた実験を進めています。具体的にはアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβや老化の原因となる酸化の効果などを細胞や人工細胞で起きる二次元的(膜面内でのドメイン形成、脂質ラフト)・三次元的(膜の形態変化)ダイナミクスの変化を通して評価しています。さらに、温感・冷感・痛みと言った"感覚"も、同様に膜のダイナミックな変化より定量的な評価を行うことを目指しています。

2. 生体系を意識した人工細胞モデルの構築

 従来のリポソームを用いた研究は中性のリン脂質のみを用いたりと実際の細胞膜・生体膜とかけ離れています。我々は、細胞膜に含まれている電荷を有しているリン脂質やリン脂質の2本の炭化水素鎖の構造が異なるハイブリッド脂質が膜ダイナミクスに与える影響を顕微鏡による直接観察をもとに明らかにしています。浸透圧等の外部刺激による膜形態変化のダイナミクスや膜面内ドメイン構造(脂質ラフト)形成等の多様な時空間膜構造の物理化学的メカニズムの解明を目指した研究を進めています。

使用装置

原子間力顕微鏡、レーザー共焦点顕微鏡、円二色分散計(CD)、核磁気共鳴装置

過去5年間の主な研究業績

  1. H. T. T. Phan, T. Hata, M. Morita, T. Yoda, T. Hamada, M. C. Vestergaard, M. Takagi. The effect of oxysterols on the interaction of Alzheimer's amyloid beta with model membranes. BBA-Biomembrane, 1828,2487-2495 (2013).
  2. T. Muraoka, T. Shima, T. Hamada, M. Morita, M. Takagi,K. Tabata, H. Noji, K. Kinbara. Ion permeation by a folded multiblock amphiphilic oligomer achieved by hierarchical construction of self-assembled nanopores. J. Am. Chem. Soc., 134, 19788-19794 (2012).
  3. T. Hamada, M. Morita, M. Miyakawa, R. Sugimoto, M. Vestergaard, M. Takagi. Size-dependent partitioning of nano/micro-particles mediated by membrane lateral heterogeneity. J. Am. Chem. Soc.,134,13990-13996 (2012).
  4. T. Hamada, R. Sugimoto, T. Nagasaki, M. Takagi. Photochemical control of membrane raft organization. Soft Matter, 7, 220-224 (2011).
  5. T. Hamada, R. Sugimoto, M. Vestergaard, T. Nagasaki, M. Takagi. Membrane disk and sphere: controllable mesoscopic structures for the capture and release of a targeted object, J. Am. Chem. Soc., 132, 10528-10532 (2010).
連絡先

高木 昌宏/E-mail:takagi@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1650 FAX:0761-51-1650
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/takagi/

分子レベルから、個体レベルまで、生命現象と種々のストレスの関係を科学し、大学院生には幅広いバイオテクノロジーの知識と技術を身につけて欲しいと思います。基礎的な知見を得ることはもちろん、医療、食品、環境などに関連する応用的なターゲットも明確にしながら研究を進めたいと考えます。