谷池研究室 谷池 俊明 准教授

Photo: 谷池 俊明 准教授

〈専門分野〉実験と計算化学の相互利用、コンビナトリアルケミストリー、量子化学計算
〈キーワード〉グリーンイノベーション、ナノ粒子・ナノ触媒、触媒化学、計算科学

“探索・学習・予測”のシナジーを実践する次世代マテリアル設計

研究内容

 循環型社会への転換が急務とされる今、材料科学は3つの課題に直面しています。
1)先進国での少子化に伴ってマンパワーが減少する一方、世界的なグローバル化によって国際競争の激化や情報の普及が進み、萌芽研究自体の優位性が失われつつあります。
2)世界的な景気の悪化と益々逼迫する環境、エネルギー問題の前に、私達研究者に与えられる資金と猶予は減少の一途をたどっています。
3)ナノテクノロジーに代表されるように、材料設計のレベルは年々高度化かつ複雑化しており、限られた期間で完全に新規な材料を発見する余地は徐々に少なくなっています。
 私達、谷池研究室のミッションは、高度に自動化された並列実験や予測を可能にする高精度量子化学計算などを相乗的に組み合わせた新しい材料設計アプローチを確立し、このような厳しい状況の中で、優れた材料を次々に世に発信することです。また、新しい材料設計アプローチを身に付けた次世代の材料科学研究者を育成します。

1."探索" - ハイスループット実験

 材料設計の高度化と複雑化、少子化と研究期間の短縮が進むなか、これまでの多くの大発見が膨大な量の実験の中の予期せぬ発見「セレンデピュティ」から生まれてきたことも事実です。私達は、これまで研究者が昼夜を問わず一つ一つ行ってきた合成や分析を自動並列化したハイスループット実験を行い、膨大な量の候補材料を探索します。ここでは、マンパワーがマシンパワーに、ガラス器具を用いた実験の設計がマシンの設計になるわけです。マシンが一度に数十の実験を肩代わりする傍ら、私達の仕事は、自身の勉学や明日の研究を発展させるために頭を使うことです。

2."学習" - 多変量解析

 ハイスループット実験は、数十から百に及ぶ結果を一度にもたらしますが、得られた大量のデータの分析は容易ではありません。私達は、多変量解析によってデータを統計的に処理し、全ての実験データから余すことなく学習し、より良い材料や反応条件の推定を行うだけでなく、材料の構造と性能の間の複雑な相関関係(QSPR)を解明します。

3."予測" - 量子化学計算

 計算機と計算科学が日進月歩の発展を見せる中、材料科学における計算科学の重要性は急速に増しています。計算科学の究極的な目標は、実験の数を最小限にするスクリーニングや未知の高性能材料の予測です。私達は、実験と計算化学を相互支援的に組み合わせることで、数多くの実験結果を再現するユニバーサルなモデルを提案し、これによって、第一原理からの未知材料の予測に挑んでいます。

 私たちの研究グループのアドバンテージは、最新鋭の方法論によって時代のニーズをオンタイムで捉えた材料分野に切り込むことができることです。このような研究事例を通して、今必要とされる材料と、独自の材料設計スキームを武器とする材料研究者という、二重のアウトプットをもって社会に貢献します。私たちは、工業展開を目的としたオレフィン重合触媒、グラフェンをベースとした新規バイオミメティック触媒といった不均一系触媒材料や、真の石油化学代替を可能にするグリーンポリマー材料の創製、ナノ粒子材料の動的振舞いを利用した機能創出に挑戦しています。

使用装置

ハイスループット合成・分析装置、スーパーコンピュータ、統計解析用ソフトウェア、分子モデリング・量子化学計算用ソフトウェア、各種分光・電子顕微鏡関連装置

過去5年間の主な研究業績

  1. T. Taniike, M. Toyonaga, M. Terano, Polypropylene-grafted nanoparticles as a promising strategy for boosting physical properties of polypropylene-based nanocomposites, Polymer, 55, 1012-1019 (2014).
  2. T. Taniike, T. Funako, M. Terano, Multilateral characterization for industrial Ziegler.Natta catalysts toward elucidation of structure-performance relationship, J. Catal., 311, 33-40 (2014).
  3. T. Taniike, M. Terano, The use of donors to increase the isotacticity of polypropylene, Adv. Polym. Sci., 257, 81-97 (2013).
  4. T. Taniike, P. Chammingkwan, V. Q. Thang, T. Funako, M. Terano, Validation of BET specific surface area for heterogeneous Ziegler-Natta catalysts based on αS-plot, Appl. Catal.: A Gen., 437-438, 24-27 (2012).
  5. T. Taniike, M. Terano, Coadsorption model for first-principle description of roles of donors in heterogeneous Ziegler-Natta propylene polymerization, J. Catal., 293, 39-53 (2012).
連絡先

谷池 俊明/E-mail:taniike@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1630 FAX:0761-51-1635
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/taniike/

私たちは、従来の経験的なアプローチに代わる新しいマテリアル設計アプローチを研究し、材料研究分野に革命を起こそうと努力しています。私たちと一緒に取り組み、唯一無二のマテリアル設計を実践する研究者を目指してみませんか?