寺野研究室 寺野 稔 教授

Photo: 寺野 稔 教授

〈専門分野〉高分子化学、触媒化学
〈キーワード〉グリーンイノベーション、ナノ粒子・ナノ触媒、バイオ・機能性ポリマー、触媒化学、高分子化学

次世代型高機能ポリオレフィン系材料の創製

研究内容

 ポリプロピレンならびにポリエチレンを中心としたポリオレフィン材料は、幅広い分野で使用されており、その生産量は国内だけでも年間650万トン、世界で年間9000万トンを越えています。炭素と水素だけから成り有害な元素を含まないポリオレフィンは、ダイオキシンや環境ホルモンなどの環境汚染の原因となる有害なポリマーの代替品としてもその需要が高まっています。ポリオレフィンを合成する遷移金属触媒として最も広く使用されているのがZiegler触媒です。しかし、重合メカニズムの解明やポリマーの一次構造の制御はいまだに達成されていません。本研究室では、様々なオレフィン重合触媒について学術的見地から研究を行ない、またこの成果を基にして次世代型高機能ポリオレフィン系材料の創成を目指しています。

1.オレフィン重合における重合初期の反応機構の解明

 オレフィン重合において決定的な重要性を持つにもかかわらず、十分解明されていない初期段階の反応機構についてStopped-Flow法を用いた速度論的なアプローチや生成ポリマーのミクロ構造の解析を中心として検討を加えています。特に近年は、第一原理計算と実験を効果的に組み合わせることで、オレフィン重合機構や触媒設計に関する分子レベルの知見が手に入るようになってきました。

2.触媒の表面観察と新しい機能を有する触媒の開発

 不均一系オレフィン重合触媒の表面組成について、モルフォロジーの観察や各種分光法による表面構造の特定を行なうことにより重合活性点についての直接的な知見の獲得をめざしています。さらに、従来の工業用触媒と全く異なるコンセプトによる触媒の開発を進めています。

3.ポリオレフィン系ナノコンポジット材料の開発

 ポリオレフィン材料の特性領域の拡張を目指し、ナノ微粒子をポリオレフィン中に分散させたナノコンポジット材料について研究しています。ナノコンポジット材料の設計指針を得るために材料物性についての基礎研究を行ない、その知見をもとにナノ粒子表面の機能化による高機能ポリオレフィン系ナノコンポジット材料の開発を行なっています。

4.ポリオレフィンの安定化と劣化機構の解明

 ポリプロピレンは劣化の影響を受けやすく、長期使用やリサイクル、リユースの観点から、より安定性の高いポリプロピレンが望まれています。そこで本研究室では、劣化開始機構の解明や一次構造制御による高安定化などを中心として研究を行なっています。

使用装置

触媒調製装置、Stopped-Flow法重合装置、500MHzNMR、400MHz固体NMR、300MHzNMR、温度上昇溶離分別法(TREF)、高温GPC、光電子分光法(XPS)、赤外分光法(FTIR)、自動昇温脱離スベクトル(TPD)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)、粉末X線回折装置(XRD)、広角X線回折装置(WAXD)、小角X線散乱装置(SAXS)

過去5年間の主な研究業績

  1. T.Taniike, T.Masahito, M.Terano, Polypropylene-Gtafted Nanoparticles as a Promising Strategy for Boosting Physical Properties of Polypropylene-Based Nanocomposites, Polymer, 55, 1012-1019 (2014).
  2. T.Taniike, T.Funako, M.Terano, Characterization for Industrial Ziegler-Natta Catalysts toward Elucidation of Structure-Performance Relationship, Journal of Catalysis, 311, 33-40 (2014).
  3. Y.Zeng, A.Matta, S.Dwivedi, T.Taniike, M.Terano, Development of a Hetero-Bimetallic Phillips-Type Catalyst for Ethylene Polymerization, Macromolecular Reaction Engineering, 7, 668-673 (2013).
  4. S.Takahashi, T.Wada, T.Taniike, M,Terano, Precise Active Site Analysis for TiCl3/MgCl2 Ziegler-Natta Model Catalyst Based, on Fractionation and Statistical Methods, Catalysts, 3, 137-147 (2013).
  5. K.Goto, T.Taniike, M.Terano, Dual-Active-Site Nature of Magnesium Dichloride-Supported Cyclopentadienyl Titanium Chloride Catalysts Switched by an Activator in Propylene Polymerization, Macromolecular Chemistry and Physics, 214, 1011-1018 (2013).
連絡先

寺野 稔/E-mail:terano@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1620 FAX:0761-51-1625
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/bunrikinou/terano-www/

本研究室では、オレフィン重合触媒の基礎研究を通した新規触媒の設計から、ポリオレフィンの一次構造の制御、ポリオレフィンのナノオーダーでの構造制御まで、「触媒化学」から「表面科学」、「高分子化学」、「ナノサイエンス」等の多分野融合により、次世代高機能ポリオレフィン系材料の開発を目指しています。