富取研究室 富取 正彦 教授

Photo: 富取 正彦 教授

〈専門分野〉表面科学、ナノプローブテクノロジー、ナノ力学
〈キーワード〉ICTイノベーション、新計測技術、表面・界面物性

ナノ構造を直視的に観察・計測・構築する表面科学の開拓

研究内容

1.新しい研究手法の開発に基づいた固体表面構造と電子状態の極微視的観察・解析

 超高真空中(10-11Torr)で稼働する走査型プローブ顕微鏡(SPM、(走査型トンネル顕微鏡:STM、原子間力顕微鏡:AFM))などの「原子スケールで鋭利な探針(プローブ)を利用する表面顕微鏡法」を中心として、装置・手法を新たに模索・開発しながら、原子スケールで固体表面の構造や電子状態を解析します。電界電子放射による局所電子励起や、プローブ法による力学的励起、光励起表面電子分光法の構築とその活用を通して、表面で発現する魅惑的な物性を探究します。

2.半導体、金属、酸化物表面の原子配列構造と電子状態の原子スケール解析、超薄膜成長、ナノ構造の作製と量子効果の電子分光学的解析、量子トンネル現象に関連した表面物性研究とその応用

 SPMや他の高分解能顕微鏡法を利用して、固体結晶表面や超薄膜成長の様子を原子スケールで観察し、あわせて電子状態を解析します。特異な結晶構造・ヘテロ構造を対象として、Ⅳ族元素を中心としたナノ構造の創製もめざします。量子力学的トンネル現象である電界電子放射現象などを利用して、針状試料先端の原子配列、組成やその電子状態を調べ、走査型プローブ顕微鏡のプローブ開発に資するとともに、電界放射励起・電子定在波励起を利用した表面解析法を開発し、電子トンネル・波動性に由来する現象の理解を深めます。

3.ナノ力学の展開的研究と原子・分子の操作・組立、非接触原子間力顕微鏡を利用したナノスケールでの原子・分子の反応過程の解析

 絶縁体材料にも適応でき、原子分解能を有する非接触原子間力顕微鏡(noncontact (nc)-AFM)を活用します。プローブ先端原子と試料原子や分子との間に働く微弱な力を計測・制御する技術(ナノプローブテクノロジー)をベースに、原子や分子をナノ力学に基づいて操作・組み立てる新しい研究分野(原子分子のナノ力学)を開拓します。この手法により、個々の原子・分子の表面反応の解析や、絶縁体にも適用可能な「次世代の原子・分子の科学・技術」を構築します。

使用装置

超高真空走査型トンネル顕微鏡、超高真空非接触原子間力顕微鏡、エネルギー分析器複合電界放射走査型トンネル顕微鏡、走査型オージェ電子顕微鏡、超高分解能走査型電子顕微鏡など

過去5年間の主な研究業績

  1. A. Sasahara and M. Tomitori, XPS and STM Study of Nb-doped TiO2 (110)-(1×1) surfaces, J. Phys. Chem. C 117 17680-17686 (2013).
  2. H. Tatsumi, A. Sasahara and M. Tomitori, Lateral distribution of Li atoms at the initial stage of adsorption on TiO2(110) surface, J. Phys. Chem. C 116 13688-13692 (2012).
  3. Y. Jeong, M. Hirade, R. Kokawa, H. Yamada, K. Kobayashi, N. Oyabu, T. Arai, A. Sasahara and M. Tomitori, Local interaction imaging by SiGe quantum dot probe, Current Appl. Phys. 12 581-584 (2012).
  4. A. Sasahara, C.L. Pang and M. Tomitori, Atomic scale analysis of ultrathin SiO2 films prepared on TiO2(100) surfaces, J. Phys. Chem. C 114 20189-20194 (2010).
  5. T. Nishimura, A. Itabashi, A. Sasahara, H. Murata, T. Arai and M. Tomitori, Adsorption state of 4,4”-diamino-p-terphenyl through an amino group bound to Si(111)-7x7 surface examined by X-ray photoelectron spectroscopy and scanning tunneling microscopy, J. Phys. Chem. C 114 11109-11114 (2010).
連絡先

富取 正彦/E-mail:tomitori@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1501 FAX:0761-51-1149
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/kkk/Tlab/Tlab_home-j.html

大学院の研究生活では、自らが問いかけ、どうやったら問題を解決できるかを自らが考え、それを実践していく意気込みが大切です。そのうえで、皆で知恵を絞って科学・技術を持ち寄り、科学的思考と実践を根気よく続けていけば、かならずや「新しい科学・技術の地平線」が見えてくると信じています。