山口研究室 山口 政之 教授

Photo: 山口 政之 教授

〈専門分野〉レオロジー、先端機能材料、高分子成形加工
〈キーワード〉グリーンイノベーション、ナノ材料化学、バイオ・機能性ポリマー、高分子化学

レオロジーを利用した先端機能材料の創製

研究内容

レオロジー制御による先端機能材料の設計

 レオロジーとは「物質の変形と流動の科学」であり、粘弾性や塑性を示す複雑な力学応答の研究に適した学問領域です。また、レオロジーでは、各々の物質が示す固有の力学挙動を、物質の分子構造や高次構造と関連づけて表すことに重点を置いています。そのため、新しい分子や材料を設計する際に大きな力を発揮します。企業での研究開発においてレオロジーの専門家が必要とされているのも、このような背景があるからです。
 さて、実学として役立っているレオロジーの研究対象は幅広く、プラスチック、繊維、ゴム、塗料、食品、化粧品、バイオマテリアルなどが含まれます。さらに、製品化を行う成形加工においても、レオロジーの知識・技術を必要とします。
 当研究室では、レオロジーを材料設計の"手段"と位置づけて、これによって先端機能材料の設計を実施しています。具体的に進めているテーマは、以下の3つに分類されます。

1.高分子系モレキュラーコンポジットの研究開発

 分子凝集状態を高度に制御することにより、ポリマー系複合材料の高性能化を目指す研究です。カーボンナノチューブ分散型複合材料の開発、新しい発泡材料の創製、有機化合物の少量添加によるポリオレフィンの高性能化(高透明化、耐衝撃性の向上、力学的異方性の制御)などに取り組んでいます。

2.レオロジー制御による機能性ソフトマテリアルの材料設計

 分子レベルで異種物質の凝集状態を高度に制御することにより、ポリマー系複合材料の高性能化を目指す研究です。電気自動車などへの用途展開が期待できる高性能ポリプロピレン、透明かつフレキシブルな導電性ポリマーフィルム、植物由来の原料を用いた革新的な光学デバイスなど次世代の材料開発に取り組んでいます。また、ポリ乳酸など環境を意識した材料を用いたり、環境に優しい製造方法を検討したりするなど低環境負荷に繋がる研究を目指しています。

3.成形加工技術の深化・構築

 どんなに優れた高分子材料であっても、成形加工することができなければ世の中で使用されることはありません。そのため高分子産業では、成形加工に必要不可欠なレオロジーの専門家を常に必要としています。その基礎となる研究を実施すると共に、新しく創製された材料のレオロジー特性を明らかにすることでその実用化へ貢献しています。

使用装置

各種粘弾性測定装置、毛管粘度計、一軸および二軸伸長粘度計、熱-力学分析装置(TMA)、応力-光学係数測定装置、多波長型三次元複屈折測定装置、一軸および二軸押出成形機、射出成形機、溶融樹脂混練機、一軸および二軸延伸装置、計装化衝撃試験機、万能力学試験機、原子間力顕微鏡(AFM)、各種光学および電子顕微鏡、X線回折装置、熱分析装置(DSC)

過去5年間の主な研究業績

  1. A. M. Mohd Edeerozey, M. Tsuji, Y. Shiroyama, M. Yamaguchi, Wavelength Dispersion of Orientation Birefringence for Cellulose Esters Containing Tricresyl Phosphate, Macromolecules, 44 (10), 3942-3949 (2011).
  2. M. Siriprumpoonthum, S. Nobukawa, Y. Satoh, H. Sasaki, M. Yamaguchi, Effect of Thermal Modification on Rheological Properties of Polyethylene Blends, J. Rheology, in press.
  3. 山口政之, 分子拡散を利用した傷の修復, 高分子, 62 (7), 377-379 (2013).
  4. 山口政之, 構造制御した次世代自動車向け高性能プラスチックの材料設計, 工業材料, 61 (1), 18-22 (2013).
  5. 山口政之, ポリ乳酸の高性能化, Polyfile, 48 (8), 20-24 (2011).
連絡先

山口 政之/E-mail:m_yama@jaist.ac.jp TEL:0761-51-1621 FAX:0761-51-1625
URL:http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/yamaguchi/

暮らしに役立つ高分子材料から将来を担う先端機能材料の開発・設計を行っています。実用化が目指せる研究にチャレンジしましょう。