研究内容


研究テーマ

 我々の研究室では、超伝導マグネットを利用した強磁場下における超伝導体の基礎的な物性研究を行っています。

 超伝導状態は、さまざまな特徴を持っているが、応用という観点を見ると電気抵抗がゼロになるというのが、なんと言っても重要、かつ魅力的な性質である。なぜなら、超伝導体に電流を流しても、ジュール熱の発生もなく、原理的にはエネルギーロスなしに電力の輸送が可能であり、また、永久電流を利用した大電力貯蔵の可能性も検討する価値が出てくるなど、そのエネルギー効率の増加は、我々の生活に計り知れない影響を与え得るものがある。しかしながら、1986年までは、超伝導状態にするためには約20K(−250度)程度まで冷却せねばならず、実用化への道は大変悲観的であった。しかしながら1986年にスイスのBednorz,Mullerによる高温酸化物超伝導体の発見により状況は一変した。彼らの発見を契機に、銅酸化物超伝導体の研究が、爆発的に起こり、超伝導転移温度はみるみるうちに上昇し、液体窒素の沸点をはるかに越える温度で超伝導を越える温度で超伝導を示す物質が数多く見いだされている。しかしながら、同時に高い転移温度を示すだけが、応用への唯一の必要な条件ではないことも、明らかになってきた。超伝導体に電流を流すと必然的に磁場を発生する。この磁 場が超伝導体には不利に働くという事実がある。最も大きなネックとなっているのは、高温超伝導体では、転移温度が高いがゆえに、また、銅酸化物が強い2次元性を持つなどの理由などにより、その磁場効果が従来の金属系超伝導体と比べても劇的に強い作用をもたらす。従って、応用への道は決して平坦なものではなく、磁場中での銅酸化物超伝導体の基礎的な研究(より一般的には混合状態の研究)の重要性が、再確認されたとみるのが妥当であろう。

 以上の考えに立って、現在は、銅酸化物超伝導体の混合状態の研究を行っている。具体的には、大型で良質な単結晶と結晶配向した薄膜を作製し、それらの試料を用い、超伝導ゆらぎ、磁束格子融解、超伝導の異方性等の最大で20テスラを越える磁場中での混合状態における性質を、磁化、比熱、電気抵抗、熱伝導をはじめさまざまな測定手段を用いて調べている。

研究室の特徴

 研究室では、お互いに協力しあい、不断に意見交換しながら、結晶作製から、物性測定、解析といった一連の仕事を行っている。基本的には、テーマを進めるために必要な手段を見つけ、よい結果を出すために実験的なセンス、うまくいくまでの粘り強い努力が必要とされる。一つの単結晶を得るのに、失敗を繰り返しながら少しずつ改良を加え、1年かけてようやく成功するということもある。基本的には本人の自主性、独自性を重んじ、気持ち良く研究生活をおくってもらいたいと願っている。実験に当たっては低温実験の宿命で液体ヘリウムは必要不可欠であるため頻繁に液体ヘリウム、窒素のベッセルをことことと研究室まで運んでは持ち帰るといった泥臭い大切な作業が繰り返される。頭と体を使いながらより良い成果を出していきたいと考えている。将来的には、基礎的な研究だけでなく、超伝導の応用にも直接寄与できる研究を進めたいと思っている。

以上岩崎助教授談


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