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酸化チタンの光触媒反応の原理

通常、水の分解反応は陰陽2つの電極を電解液に浸し、回路を閉じて電圧を加える必要がある。しかし藤島・本田は酸化チタンを陽極とし、対極に白金を使い閉回路を作り、酸化チタン電極に紫外線を照射すると自動的に水の分解反応が進行することを見出した。(ホンダ・フジシマ効果)

図1 TiO2の水の分解

 

この反応メカニズムを次のように説明している。

酸化チタンの表面に紫外線を照射すると価電子帯の電子が励起され、価電子帯に正孔が生じる。

TiO2hν→ TiO22 e2h    h:正孔

この正孔は酸化チタン表面で水を酸化し、酸素を発生する。

H2O2hO22H+

電子は回路を経て、白金表面へ移動し水素を発生する。

2H+2 e H2

ホンダ・フジシマ効果は電極反応として発見されたが、いろいろな材料の表面に酸化チタンの薄い膜を付け生活空間に存在する紫外線だけで環境浄化ができる方法が考えられた。

次に、酸化チタン薄膜で起こる光触媒反応について考える。

酸化チタンに紫外線(ルチル型:λ<400nm、アナターゼ型:λ<380nm)を照射すると、価電子帯の電子が励起して電子(e)と正孔(h)の2つのキャリアができる。一般の物質ではこの両者は再結合するが、酸化チタンの場合はしばらく生き残る。

正孔は触媒表面にある吸着水を酸化し、酸化力の高いヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。このヒドロキシラジカルが有機物と反応するといわれている。

一方、電子は空気中の酸素を還元してスーパーオキサイドアニオン(・O2)を生成し、過酸化物を形成したり過酸化水素を経て水になると考えられている。

TiO2hν→ TiO2 eh     

eO2→・O2             還元反応

hH2O→・OHH+           酸化反応

図2 酸化チタン表面の酸化還元反応

この・OHは強い酸化力があり、有機物を構成する分子中のC-CC-HC-NC-OO-HN-H等のエネルギーよりはるかに大きいため、これらの結合を切断し分解することができる。

CC  83kcal/mol

CH  99kcal/mol

CN  73kcal/mol

CO  84kcal/mol

OH 111kcal/mol

NH  93kcal/mol

OH 120kcal/mol

表1 有機物を構成する分子中のエネルギーと・OHのエネルギー

したがって、強い酸化力により環境汚染の原因となる化学物質等の分解を光だけでクリーンに行うことが可能であり、環境浄化の有力な手段となりうる。(生活空間に存在する程度の紫外線量の下では、・OHの濃度は非常に小さく、人体には全く無害な程度と推定されている。)最大の特徴は酸化チタン自身を消耗したり、その性質を変化させたりすることなく、永続的に反応が進むという点である。