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本学では研究を通じた高い専門性に加えて、異分野の研究内容を理解し境界領域における研究開発を推進できる人材を育成することを目指して学生の教育を行っております。特に従来の大学院教育で批判の多かったタコツボ型(専門知識は深いけれども他の研究分野に対する視野が狭い)研究者の反省に立った教育プログラムを実施しています。
 

本学は学部を持たない大学院大学であるため、入学してきた学生は全て他大学で学部教育を受けています。さらに学部の専攻は物理、化学、生物、電気電子と実に様々です。そして本学では,それまで全く経験の無い研究分野の研究を担当することになります。
  

そこで本学では研究室への配属は7月まで行わず、本人の出身学部にかかわらず化学,物理,生物の三分野の講義から受講させ一定の成績を収めなければ研究室への配属を許可しておりません。また研究室の配属先は成績順となっており、希望の研究室に配属されるために本当に一所懸命勉強しています。
  

らに、研究室で実施する研究テーマの他に副テーマと呼ばれる研究を実施し報告書を提出することが修了要件となっています。副テーマの目的は異分野の研究室において最先端の研究を体験させることにあります。例えば私の研究室の学生は多結晶シリコンの研究室でFETの研究をしたり、バイオ系の研究室でバイオセンサーの研究を行ったりしています。
  

一方、昨今のように会社での入社面接を受ける時期が翌年3月頃の場合には,配属決定後の7月から翌年2月までの8ヶ月足らずが技術面接に臨むまでに本学学生に許された研究期間です。

従って4年生からほぼ2年間に渡って同じ研究を継続してこられた他大学の修士の学生方に比べますと面接時点で得られている研究成果に大きな開きを感じられることがあるかもしれません。しかしながら、それは学生の能力の問題だけではなく、上述しましたように学生の置かれた環境が他大学とは大きく異なることにも起因しています。

人材の流動化、幅広い専門知識の重要性が叫ばれながら実際に他大学の大学院に移る学生は全体のほんの一部です。

我々教員は、居心地の良い出身大学から飛び出して本学に入学してきた学生達に対して最大限の教育を行い、本学の教育プログラムが完了する修士課程修了時には修士レベルの専門知識だけでなく異分野の研究を理解するための基礎知識を習得させて彼らを送り出しております。

本学で高い専門性と幅広い基礎知識を身につけた修了生達が実社会に出て経験を積めば、今後益々重要となる境界領域の研究開発を通じて日本の産業の発展に貢献してくれるものと信じています。どうか北陸先端大の修了生の活躍にご期待ください。