有機トランジスタ・有機メモリー

低電圧駆動トランジスタの開発

メモリー素子やセンサー素子への応用を目指して、ウェットプロセスによる低電圧駆動有機トランジスタの作製を進めております。駆動電圧が3 V程度、SS値が100mV/dec以下を目標とし、低電圧化に必要なゲート静電容量の増大やチャネル部分のトラップの減少などを目指した作製プロセスの改善に取り組んでおります。

不揮発性有機メモリーの開発(トランジスタ型)

有機材料の特徴を生かした新しい動作メカニズムによる不揮発性有機メモリの実現に挑戦しています。これまでに、トランジスタ型メモリの絶縁層にイオンを偏在させることで分極を発生させたり、絶縁層を二層構造として、絶縁層/絶縁層の界面に電子をトラップさせることで、有機トランジスタの閾値電圧がシフトすることを見出しました。これらの特徴を使って、不揮発性有機メモリを動作させることに成功しました。特に絶縁層界面に電子をトラップさせる方式の有機メモリは、繰返し書込動作を行っても劣化せず、記録の保持特性も極めて安定であることが分かりました。

加えて、最近、Li@C60を電荷トラップ層に適用したメモリー素子の開発に成功し、現在は動作メカニズムの解明に向けた解析を進めています。こちら

抵抗変化型有機メモリーの作製と動作メカニズムの解明(2端子型)

新規抵抗変化型不揮発性メモリの開発を目指して、らせん構造を有するポリイソシアニドを活性層に用いたメモリーの研究に取り組んでいます。これまでに、107を超える高いOn/Off比と高い駆動安定性を実現しました。

現在はその動作メカニズムについて解明へ向けて、電気特性や物性測定の面から研究を進めています。

論理回路の作製(トランジスタ)

有機トランジスタやトランジスタ型メモリーの研究活動で蓄積した知見をもとに、論理回路を作製しました。この素子では、p型トランジスタとn型トランジスタの両方に光書き込み型の絶縁層を採用し、回路に組み込まれたトランジスタの閾値電圧を自在に制御することが可能です。その結果、素子の作製後にノイズマージンのバランスを改善することができました。(64% of NMH and 68% of NML) 詳細はACS Applied Materials & Interfacesをご覧ください。 こちら