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マテリアルサイエンス研究科
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   01 ポリマー材料の高性能化および機能化研究
 分子・材料設計を行う研究テーマであり、 従来までの概念を越えた高性能材料、さらには、特殊な機能を示すポリマー系材料の創製について提案を行っています。 特に、環境・エネルギー問題に対応した材料などを中心に、 産業界でニーズの強い分野の研究活動を行っています。
 新しいコンセプトに基づいた研究テーマを推進することで、 自動車、電気・電子材料、光学・ディスプレイ材料、機能性繊維など日本の強い技術分野を中心として さまざまな用途への応用展開を図っています。

ポリ乳酸の高性能化
 ポリ乳酸は、バイオマスから製造されるプラスチックの中で 今後の使用量増大が最も期待されるポリマーです。 しかしながら、物性、加工性共に問題が多いことから、 それらを改質する必要があります。当研究室では、特殊なナノフィブリルや針状結晶核剤との複合化による 高剛性・高耐熱性材料の設計(図1、2)、 ポリマーブレンドによる改質技術の構築、発泡成形性などの加工性改質技術の提案、 分子レベルでの相溶性を制御することによって得られる新規軟質および形状記憶材料の創製(図3) などを行っています。最近では破壊エネルギーが100倍以上となるポリ乳酸の設計方法を見出しています。

     図1 PLA中に分散した極細繊維の電子顕微鏡写真
        これらのナノファイバーが耐熱性などを向上

     図2 針の形状でPLA中に存在する結晶核剤
        針状の結晶核剤がPLAの結晶化を促進



     図3 PLA系複合材料による形状記憶効果
        室温では硬い材料であるが、お湯の中では自在に変形させることが
        可能である。また、冷水に浸すとその形状を保持する。さらに、
        再びお湯に浸すと初期の形状に戻る。
        すなわち、初期の形状を記憶する。


セルロースエステル複合材料における光学異方性の制御
 液晶ディスプレイに必要不可欠な位相差特性を制御したフィルムを創製しています。 これまでに、分子レベルで異種有機材料を混合することにより、 配向複屈折やガラス状態における光弾性係数を自在に調整する技術を確立しています。 また、位相差が波長と共に増加するという一般的なポリマーでは観測されない 特殊な光学特性を付与させることにも成功しています(図4)。 これらは、液晶ディスプレイの薄型化、大画面での高コントラスト化などに繋がる 画期的な技術として注目を集めています。また、有機ELや3Dテレビなど 次世代のディスプレイにも必要不可欠な材料です。

  科学技術振興機構JST 重点地域研究開発推進プログラムに採択

    図4 位相差の波長依存性
     開発品は位相差が波長と共に増加する理想的な挙動を示す。
     なお、一般的なポリマーでは位相差は波長と共に低下する。
     図中、青線は理想値、赤は実験値。


分子配向状態を高度に制御した次世代型ポリプロピレンの創製
 ポリマー中に溶解するタイプの結晶核剤を利用し、 透明性、耐衝撃性、高速成形性などの向上を目指しています。 具体的には、結晶核剤をナノフィブリルの形状で分散させることによりポリプロピレン(PP)を透明にする新しい技術を提案したり(図5)、 低温でのマテリアルリサイクル性を可能にする方法を提案しています。 また、最近では、ごく少量の有機系添加剤を加えて成形条件を制御することで、 流動方向と垂直方向に分子が配向した押出フィルムやシートを得る技術を確立しました(図6)。 常識とは異なる分子配向により、破壊形状の制御や高靭性化、高度な寸法安定性が期待されます。 さらに、本技術を射出成形に応用することで、スキン層とコア層で分子鎖の配向方向が 直交する「ベニヤ板構造」の創製に成功しています。高い衝撃強度のみならず破壊形状の制御も可能になることから、 自動車内装材などを中心に今後の応用が期待されている技術です。

     図5 結晶核剤添加に伴う透明性の向上
        特定の有機ゲル化剤 (直径10ナノメートル程度のフィブリルを形成)
        をごく少量 (0.1〜0.4%) 添加することにより、優れた透明性を示す


図6 核剤を添加した押出シートの引裂き特性
PPよりも優れた強度を示し、かつ、流れ方向に 高い引き裂き強度を示すという異常な力学的 異方性を示す


カーボンナノチューブとの複合化による半導電性高分子の創製
 カーボンナノチューブ(CNT)をポリマー中へ分散させて電気特性や力学特性を向上させる技術です。 これまでにCNTを樹脂表面に局在化させる技術を構築し、実用化への応用を検討するに至っています(図7)。 高価なCNTを極少量添加するのみで導電性を示すことから、電気・電子分野、 ディスプレイ、自動車用部材など多くの用途が期待されています。将来的にはフレキシブルな 透明ディスプレイへの応用展開を目指しています。

図7 表面にCNTが局在化したプラスチック切断面の電子顕微鏡写真
CNTが表層でパーコレーションし、導電性を発現する


自己修復性高分子材料の分子設計
 臨界点近傍のゲルには、一方の末端はネットワーク構造に繋がっているものの 別の末端が自由に運動可能な"ダングリング鎖"が数多く存在します。 そのダングリング鎖の分子運動によって生じるトポロジー相互作用を利用し、 室温で放置するだけで外部から受けた傷を治癒する自己修復性高分子材料を設計しています。 塗料や表皮材はもちろんのこと、 生体模倣材料として、また、インテリジェント・マテリアルとして今後の実用化が期待される技術です(図8)。

図8 臨界点近傍のゲルが示す自己修復挙動
一旦切断した(上段中央)試験片を再度接合し (上段右)、10分放置するだけで再び延伸が可能


透明性を制御したアクリル樹脂系複合材料の設計
 ガラス状の高分子物質にゴムを添加して破壊靭性を高めようとする研究開発は古くから活発に行われています。 その際に常に取り上げられる問題は透明性の悪化です。 これはゴムとガラス状高分子との屈折率差に基づく光散乱が原因です。 すなわち、屈折率のマッチングを行うことで透明性は改良可能です。 しかしながら、ゴム状高分子とガラス状高分子では熱膨張の程度が異なるため、 温度変化と共に屈折率差が生じ、光散乱を生じます。 本研究では温度変化しても透明性を維持するゴム分散系ガラス状高分子や、 逆に温度変化により透明性が劇的に変化するブレンド材料の創製を目指しています。

ポリカーボネートの高性能化
 ポリカーボネート(PC)も優れた透明性を示すプラスチックとして知られています。 ゴムを添加しなくても優れた耐衝撃性を示しますが、剛性の向上、耐傷性の向上、 熱膨張の抑制などの改良が期待されています。 当研究室では、PCの自由体積を制御することにより、剛性を高める と共に、線膨張係数を低減できることを見出しました。 本特性を活かすことで、自動車などに用いている 無機ガラスの代替などが期待されます。また、光学異方性を高める手法も見出しており、 剛性向上技術を併用することにより、厚みの薄い位相差フィルムが設計できることを示しています。

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   02 レオロジーを利用したソフトマテリアルの製品設計
 レオロジーの考え方はポリマーのみならず、さまざまな分野で必要とされます。 特に、軟質材料である食品や化粧品、生体材料などではレオロジー特性の把握が必要不可欠です。 本テーマでは、洗顔フォームやボディソープなどの泡のレオロジー特性と人の感じ方との関係など、 サイコレオロジーと呼ばれる分野の研究を行っています。私たちは触ったり食べたりした際の感じ方によってその製品に対する イメージを決めます。このように、レオロジー的性質は製品価値を決める大切な特性になることから 工業的に重要視されています。

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   03 成形加工技術の深化
 レオロジーは高分子加工の進歩によりその工業的価値が大きく認められるようになりました。 すなわち、高分子成形加工ではレオロジーが必須の知見となります。 我々は、成形加工にとって必要なその他の情報と共に レオロジー的な知見を利用することで、高分子材料の基本的な加工特性を理解し、さらに、高速加工や 優れた製品精度を示す材料の提案に取り組んでいます。どのように優れた物質であっても成形加工できなければ 使用することは不可能です。すなわち、この分野の研究は機能性材料を含む全ての物質にとって避けることができません。

押出不安定現象と分子特性に関する研究
 新規高分子物質を含んださまざまな物質を対象として、 からみ合い点間分子量などの基本的なレオロジー特性を調べ、成形加工性や 固体物性などに必要な知見を得ます。また、すべての成形加工ではコストパフォーマンスを高めるために 高速成形が望まれますが、そのような条件では流動不安定現象が生じやすくなります。 本研究では流動不安定現象が生じる原因を基礎的な視点から解明するとともに、得られた知見を基に 安定して高速加工できる条件の提案を目指しています。これまでに一次構造とメルトフラクチャー発生応力との関係など を明らかにしています。

押出ラミネート加工と分子特性
 押出ラミネートは高温で行われる独特な成形方法です。 ポリマーのレオロジー特性の制御が必要とされる本加工方法と、 ポリマーの分子特性との関係をレオロジー的視点から検討しています。

非架橋ポリマーによる発泡成形(臨界ゲル法、ナノフィブリル法)
 架橋を行わずに発泡成形を可能にする技術は自動車、食品分野を中心に幅広い用途で強く求められています。 我々はゾル−ゲル転移の臨界点近傍のゲルや、フレキシブルなナノファイバーを極少量添加することにより、 伸長粘度のひずみ硬化性を飛躍的に高める技術の構築を進めています。 非架橋で発泡可能になれば、ポリプロピレンやポリ乳酸などの発泡体が得られるようになり、さらに、リサイクルなど の観点で環境負荷が小さくなることから注目を集めています。

加工履歴とレオロジー特性に関する研究
 一般的に、押出機から押し出された樹脂の加工特性は、 ペレットを溶融させて測定したレオロジー特性によって考察されます。 しかしながら、LDPE、EVA、高溶融張力PPなどに代表されるような長鎖分岐が存在するポリマーでは、 押出機での加工履歴によりレオロジー特性、さらに、成形加工性が大きく変化します。 そのため、スクリューデザインなども加工特性に影響を及ぼします。 我々は本特性を定量的に評価しレオロジー特性の変化を予測すると共に、 せん断履歴効果(shear modification) と呼ばれる本現象から長鎖分岐度を定量化する方法を提案しています。

図9 スクリュー構成と押出特性の関係(LDPE)
長鎖分岐ポリマーではスクリュー構成を変えるだけで、 押出物の外観や溶融延伸に必要な力 (ドローダウン力)を制御することが可能。なお、分子切断や架橋などは生じていない。


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研究設備一覧

山口研究室:  北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科
〒923-1292 石川県能美市旭台1-1 TEL:0761-51-1621 FAX:0761-51-1625 E-mail:m_yama@jaist.ac.jp