(前編)学生のアイデアをビジネスへ。M-BIP開催のお知らせ


今秋、北陸先端科学技術大学院大学 産学官連携本部の主催で、第7回「Matching HUB Kanazawa」を開催します。今回は、その主要プログラムの一つで毎回大きな盛り上がりをみせる、学生のビジネスアイデアのコンペティション「Matching HUB Business Idea & Plan Competition(以降、M-BIP)」を紹介します。

 

学生のアイデア、研究成果をビジネスに
若い力を地域のイノベーションに繋げる

11月5日(木)、6日(金)、JR金沢駅前のANAクラウンプラザホテル金沢において、北陸地域の活性化と人材育成を目的とした産学官金連携イベントMatching HUB Kanazawa 2020が開催されます。「M-BIP」は同マッチングイベントのプログラムの一つで、全国から集まった学生の熱のこもったプレゼンテーションが繰り広げられます。

ほかのビジネスアイデアコンテストと異なる点としては、「M-BIP」は、研究活動を行う学生らしい斬新なアイデアを大切にしたいという想いから、マネタイズプランより研究活動や日頃の気づきから生まれるアイデアに重点をおいているところに特徴があります。募集するアイデアの業種、分野も問わず、ものづくりはもとより、IT、サービス、小売販売等々、幅広い領域のアイデアを対象としている点もアイデアの発想範囲を広げるためです。

堂々とした振る舞いが印象的なファイナリストのプレゼンテーション

 

選考方法は、まず1次審査として応募された全アイデアの書類審査を行います。この時、1次審査を通過した学生は入選となり、引き続き入選者のアイデアの2次審査(書類審査)を行います。そして、2次審査を通過した学生はファイナリストとして、「M-BIP」会場でプレゼンテーションを行う最終審査に臨みます。

なお、1次審査を通過した入選者(ファイナリストを含む)のアイデアは、Matching HUB Kanazawa 2020の会場にアイデアを紹介・説明するポスターが掲出され、ポスターセッションが行われます。ポスターセッションでは、Matching HUB Kanazawa 2020の参加者の投票によって、オーディエンス賞が選ばれます。

 

「M-BIP」はMatching HUB Kanazawa 2020の初日に行われます。今年も、未来を拓かんとする学生による多様なアイデアが寄せられることが期待されます。

 

今年の募集要項は近日中に公開されます。JAIST-netでご案内しますので、ぜひご確認ください。

 

熱のこもったプレゼンテーションに沸く会場
真摯な説明が心を打つポスターセッション

昨年の「M-BIP」では、入選が28案、最終審査進出が12案、厳正な審査のもと選ばれました。どの案も「M-BIP」の特徴であるアイデア重視の選考ならではの、斬新で自由な発想から生まれたアイデアばかりです。
最終審査では、最前列に並んで熱い視線を送る審査員と多くの聴衆が見つめる張りつめた雰囲気の中、ファイナリストがひたむきに自らのアイデアの説明とアピールに汗していたのが印象的でした。

審査員、聴衆が真剣な眼差しを送る昨年のM-BIPの様子
ポスターセッションで来場者にアイデアを説明する入選者

 

昨年の「M-BIP」で最優秀賞を獲得したのは
動物園の動物の短命化解消を目指す

昨年、最優秀賞を獲得したのは、提案名「サルのストレスを解消し、来園者を笑顔にする給餌装置『kuru・kuru』」でした。
発案者の徳島大学の前田晏里さんによると、動物園の動物が運動不足に陥っていて、それが原因で短命化が進んでいる問題がありました。そこで、エサやり機と遊具を掛け合わせたサルの給餌装置を思い立って研究と開発に着手。昨年の12月からは香川県のしろとり動物園で実機の運用を始めています。
動物園の動物の健康だけではなく、元気に動き回る動物を目にした来園者も楽しめるように配慮した本アイデアは、最優秀賞のほか数々の企業賞を獲ることになりました。

最優秀賞を獲得した前田さんと寺野産学官連携本部長

昨年の最終審査の結果は以下のとおりです。(敬称略)

〇最優秀賞
「給餌装置『kuru・kuru』」
前田 晏里(徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 地域創生コース)
メンバー:藤川 達矢、毛笠 龍之介

〇優秀賞
「地域の観光資源を描いたイラストを商品のラベル等に活用してもらうビジネス」
能登 由佳(金沢学院大学 芸術学部 芸術学科)
メンバー:鋤田 瑞生、出村 菜苗、沢崎 栞、向 渚紗

「AICO AI-Counseling」
戸部田 貴裕(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
メンバー:髙野 あゆみ

〇NEDO賞 ※優秀賞として授与
「給餌装置『kuru・kuru』」
前田 晏里(徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 地域創生コース)
メンバー:藤川 達矢、毛笠 龍之介

〇中小機構北陸本部賞
「かおかお 画像認識で学生の理解度をリアルタイムで可視化」
髙野 あゆみ(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
メンバー:奥平 知理

〇ISICO賞
「地域の観光資源を描いたイラストを商品のラベル等に活用してもらうビジネス」
能登 由佳(金沢学院大学 芸術学部 芸術学科)
メンバー:鋤田 瑞生、出村 菜苗、沢崎 栞、向 渚紗

〇北陸銀行賞
「にゅーふぇいす ~おしゃれに飲みたい女子大生による 新・日本酒プロジェクト~」
田邉 和香(新潟大学 経済学部 経済学科)
メンバー:遠藤 綾華、中津川 華澄

〇三谷産業賞
「かおかお 画像認識で学生の理解度をリアルタイムで可視化」
髙野 あゆみ(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
メンバー:奥平 知理

〇フューチャー賞
「かおかお 画像認識で学生の理解度をリアルタイムで可視化」
髙野 あゆみ(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
メンバー:奥平 知理

〇レボーン賞
「地域特産物のポテンシャルを引き出す協働型ブランドマネジメント」
坂田 柚子香(東京大学 農学部 獣医学専修)

〇JBMC賞
「給餌装置『kuru・kuru』」
前田 晏里(徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 地域創生コース)
メンバー:藤川 達矢、毛笠 龍之介

〇NECソリューションイノベータ賞
「シリカゲヒーター」
伴田 千紘(石川県立大学大学院 生物資源環境学研究科)
メンバー:浪江 日和、蜜澤 岳、西尾 拓哉、水田 陽斗

〇オーディエンス賞
「Knowledge Reactor 概念に基づいた産学官協働による地域活性化モデル」
麻生 大雅(第一工業大学 工学部 建築デザイン学科 建築デザインコース)

「日本酒を世界の食卓へ 作って学ぶ食べて学ぶ料理教室型日本酒推進プロジェクト~」
高橋 快成(立命館大学 情報理工学部 知能情報コース)
メンバー:福成 実祐、野里常 光塁、出雲 かなる、中井 一希、田中 美歩

「シリカゲヒーター」
伴田 千紘(石川県立大学大学院 生物資源環境学研究科)
メンバー:浪江 日和、蜜澤 岳、西尾 拓哉、水田 陽斗

「次世代が選択できる豊かな地域社会の構築 ~見る・学ぶツアーによる持続可能な地域づくり~」
正城 奈々美(金沢星稜大学 経済学部 経済学科 川澄ゼミ(持続可能なまちづくり)
メンバー:向出 安佑、藤井 悠里、長谷川 真緒、石田 裕美子

 

次回は、最優秀賞となった前田さんとメンバーによるアイデアが、その後、本学産学官連携本部によってどのようにフォローされているかを紹介します。

 

=本件に関するお問い合わせは以下まで=

北陸先端科学技術大学院大学 産学官連携本部
産学官連携推進センター  Matching HUB 事務局
Tel:0761-51-1070
Fax: 0761-51-1427
E-mail:jaist-net@www-cms176.jaist.ac.jp