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2次元高分子を用いた高速プロトン伝導材料の開拓に成功

2次元高分子を用いた高速プロトン伝導材料の開拓に成功

北陸先端科学技術大学院大学(学長・浅野哲夫、石川県能美市)のマテリアルサイエンス系環境・エネルギー領域の江 東林教授らの研究グループは、高速プロトン伝導を可能とする2次元高分子材料の開拓に成功しました。高速プロトン伝導材料は、燃料電池のキーテクノロジーとして世界中で熾烈な開発競争が繰り広げられています。2次元高分子の特異な多孔構造を活かして、高温下でも(100 °C以上)安定作業が可能な新型プロトン伝導体の構築に成功しました。従来の多孔材料を用いた伝導体に比べて、200倍も速く伝導することが可能となりました。
 本研究は、Nature Publishing Groupが出版する「Nature Materials」に平成28年4月4日に公開されます。

1. 研究の成果

2次元高分子注1) は、規則正しい分子配列を有し、ナノサイズの1次元チャンネル構造を創り出す高分子です。構成ユニットの開拓により、一次並びに高次構造をともにデザインしてつくることができる物質として、近年大いに注目されています。特に、周期的な骨格構造および1次元チャンネル構造を活かした機能材料の開発が盛んに行われています。
 今回、水、酸および塩基にも強い安定な結晶性多孔構造体を構築し、その特異なナノチャンネルを利用したプロトン伝導システムの開発に成功しました。具体的に、高い結晶性、高い化学・熱安定性および高い表面積(2105 m2/g;細孔径3.3 nm)を兼備した2次元高分子をベースに、プロトンキャリアとしてイミダゾールやトリアゾールを用いて、2次元高分子の1次元細孔に内包することによりプロトン伝導システムを構築しました(図1)。細孔の中では、高容量で存在するイミダゾールやトリアゾールは、水素ネットワークを形成し、摂氏130度の高温下でも安定作業が可能な高速プロトン伝導を実現しました。これらのプロトン伝導体は、従来の多孔材料に比べて、200倍も高いプロトン伝導を示しました。

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図1.高速プロトン伝導を実現する2次元高分子(左:トリアゾール;右:イミダゾール)
2. 今後の展開

プロトン伝導体は燃料電池のキーテクノロジーであり、水素自動車などの性能を直接左右する主材料として、そのインパクトは大きく、特に、高温下で安定作業が可能な高速イオン伝導体は、燃料電池の効率向上、長寿命化、およびコストダウンにつながり、その開発が世界各国で熾烈な競争が繰り広げられています。今回の研究成果は、次世代燃料電池に新しいプロトン伝導体を提供するものであり、革新的なエネルギー技術の向上に貢献することが期待されます。

3. 用語解説

注1)2次元高分子:共有結合で有機ユニットを連結し、2次元に規定して成長した多孔性高分子シートの結晶化による積層される有機構造体。結晶性と多孔性が2次元高分子の基本物性であり、安定な積層構造の構築が機能開拓をはじめ、応用の鍵を握る。

4. 論文情報

掲載誌:Nature Materials(Nature Publishing Groupが発行する材料誌;インパクトファクター36.5)
論文タイトル:Proton conduction in crystalline and porous covalent organic frameworks(結晶性多孔共有結合性有機骨格構造におけるプロトン伝導)
著者:Hong Xu(現在Cornell大博士研究員), Shanshan Tao(特別研究学生), Donglin Jiang
掲載予定日:4月4日にオンライン掲載 DOI: 10.1038/nmat4611.

平成28年4月5日

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