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蛍光を放つ2次元高分子の開拓に成功

蛍光を放つ2次元高分子の開拓に成功

 北陸先端科学技術大学院大学(学長・浅野哲夫、石川県能美市)の先端科学技術研究科/環境・エネルギー領域の江 東林教授らの研究グループは、蛍光を放つ2次元高分子材料の開拓に成功した。蛍光材料は、有害な化学物質、生体分子の検出やイメージングなどの分野に幅広く応用される。これまでに開発された2次元高分子は、積層構造のため光励起エネルギーが熱として散逸してしまい、蛍光を出すことが困難であった。これに対して、本研究は、2次元高分子の構築に新しい蛍光発光機構を導入し、積層した構造でも強く光ることが可能となった。
 本研究は、米国化学会誌 J. Am. Chem. Soc.に平成28年4月24日に公開された。
1. 研究の成果

 2次元高分子注1 )は、規則正しい分子骨格構造を有し、無数の細孔が並んでいることから、CO2吸着、触媒、エネルギー変換、半導体、エネルギー貯蔵など様々な分野で活躍され、新しい機能性材料として大いに注目されている。これまでに、様々な蛍光性ユニットをビルディングブロックとして用いて発光性2次元高分子を開拓しようという試みが行われたが、得られた2次元高分子はいずれも蛍光を出すことができなかった。これは、2次元高分子の特異な積層構造と関連し、光励起エネルギーがすぐにも熱として散逸してしまい、蛍光を出せない構造となっているためである。
 今回、2次元高分子の構築に新しい蛍光発光機構を導入し、積層した構造でも強く光る材料の開発に成功した。具体的に、従来の蛍光性ユニットのかわりに、会合して蛍光を発するユニットを新たに開発し、2次元高分子の設計と合成に用いた。その結果、ユニークなかごめ構造を有する2次元高分子が高収率で得られた(図1)。興味深いことに、この2次元高分子は、固体でも溶媒中に分散しても、青色の蛍光を強く発光することができる。
 本研究では、さらに、蛍光性2次元高分子が優れたセンサーとして応用できることを開発し、高感度で有害な化学物質を検出できることを見いだした。特に、水質管理にも重要な物質であるアンモニアに対して、素早く応答し、蛍光が消光されることが分かった。濃度が1ppm注2) 以下のアンモニアでも検出できるという高感度を示した。

2. 今後の展開

 今回の研究成果は、蛍光性2次元高分子設計の原理が確立され、これまでになかった新種の蛍光性物質が誕生したというもので、新しい光物性の開拓が期待される。今後、様々な蛍光性2次元高分子が開発されると同時に、化学センサーや生体分子センサー、イメージング、励起エネルギー移動、光捕集、レーザー発振、光デバイスなどの応用が期待される。

3. 用語解説

注1)2次元高分子:共有結合で有機ユニットを連結し、2次元に規定して成長した多孔性高分子シートの結晶化による積層される有機構造体。
注2)1 ppm:100万分の1の比率を表す数値。

4. 論文情報

掲載誌:J. Am. Chem. Soc.(米国化学会誌)
論文タイトル:Highly Emissive Covalent Organic Frameworks(高発光性共有結合性有機骨格構造)
著者:Sasanka Dalapati(JSPS博士研究員), Enquan Jin(特別研究学生), Matthew Addicoat (ドイツ ライプツィヒ大学博士研究員), Thomas Heine (ドイツ ライプツィヒ大学教授), Donglin Jiang(北陸先端科学技術大学院大学教授)
掲載日:4月24日にオンライン掲載 DOI:10.1021/jacs.6b02700

平成28年4月28日

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