次世代を見据えた先進的な物質変換では、何をつくるかではなく、目的とする化合物をいかにスマートに作るかといった点が重要視されています。 触媒は古くから物質変換(原子の組み換え)の根幹に関わる高機能性ナノ材料であり、 新しい機能を賦与した触媒は旧来の物質変換プロセスを一新し、 目的物質だけを高収率で作るためのシンプルな物質変換ストラテジーを提供できます。

当研究室では、固体表面を原子レベルで見つめ、 環境・エネルギー・健康問題の解決に貢献する物質変換を目指した精密な触媒設計法 の開拓を通して、新しい機能を備えた固体触媒“賢者の石”を創製することを目的にしています。 化学をベースに研究を進めますが、物質の触媒作用を決定づける表面原子配列を観察する物理系、 新たな触媒を設計するために必要な生体の優れた機能を解明する生物系などの分野融合を通して、 触媒科学が飛躍的に発展すると考えています。

(1) 固体表面を舞台とした触媒活性点の高度集積と協奏機能の発現

ターゲットとする物質変換は、未来型社会実現のために不可欠である資源・エネルギーの高度活用に関わる官能基変換です。

例えば、地球上に無尽蔵にある酸素や水を用いる炭化水素類の高選択的酸化反応などを研究対象とします。 そのため、酸素・水の活性化能やC-H結合活性化能を示す触媒成分(活性点)を、 それぞれの機能が最大限に発揮され、しかも協奏的に働くことのできる固体表面を創製します。<図1、2>

ここでは、活性点の配列や界面ナノ構造をも制御する新たな触媒調製法(nano-weaving) の開発が鍵となるため、本学ナノマテリアルテクノロジーセンターや大型放射光実験施設(SPring-8) での光と物質の相互作用を利用する最先端の分析方法を駆使して触媒活性点の原子レベルでの構造・配列を 明らかにします。<図3>

さらに、次世代の機能性触媒材料として注目されている金属ナノ粒子の生成過程を、 時間分解X線吸収分光法にて追跡・解明し、ソフトケミストリーの手法に基づき粒子径や形、 表面酸化状態をも同時に制御するナノ粒子触媒の調製へと挑戦します。

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(2) 実用的触媒材料への展開

人類の持続可能な発展に貢献する触媒でのイノベーションケミストリーを社会に還元するため、産官学を問わない研究開発活動を行います。

特に、新規触媒材料の実用化を大きな目標とします。また、触媒科学を中心とする新たな研究領域の創生を目指します。

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(3) 使用装置

X線吸収微細構造分析装置(大型放射光施設, SPring-8やKEK-PF)、 透過型電子顕微鏡、X線回折装置、X線光電子分光装置、400MHz核磁気共鳴分析装置、 紫外可視分光光度計、赤外分光光度計、ガスクロマトグラフ装置、 液体クロマトグラフ装置、質量分析装置など

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