Daily Archives: 2013年5月26日

マルタ風

Mdinaを歩いて目指した。といっても少し手前(5kmくらい)でバスを降りて歩いた、というだけなのだが。やや風が強いものの晴天で、1時間ほど歩くには快適な天気。ブドウ畑や野生のフェネルなどを愛でながらのんびり歩いた。すぐ横を走りすぎていく車のエンジン音は快適とは言い難いが仕方がない。歩いていくとMdinaが丘の上に建てられた町であることがよくわかる。マルタ島において最初の首都がおかれたところで、防衛上の理由から城壁に囲まれている。丘の上に作ればさらに防御が強固になるという理屈であろう。

到着後、カフェで軽食をとるも風が強く、二度席を移る羽目に。最初に座った眺望のよい席は強風のためパラソルを閉じるというので中座。移った先は屋内であったが床から立ち上ってくる洗剤のにおいが気になり、やはり途中で移動。最終的に落ち着いた中庭でBLTサンドイッチとカプレーゼを食べた。

Johnに薦められた柱廊を見に行った。やや町外れにあるので日陰を探しながら歩いていく。気温は高いだろうが湿度が低いので日陰に入ると涼しい。10分ほど歩いて Our Lady of the Grotto に到着した。私は知らなかったのだが、14世紀に洞穴で休んでいた猟師にマリア様が現れたという奇跡が起きたところらしい。マリア様のレリーフがチャペルに飾ってあるのだが、これは1999年5月7日に血の涙を流したという奇跡も起こしたという。調査の結果、それは人間の血であった、というのだが。。ほかにも個人宅のチャペルに置かれたマリア様から血の涙が流れたという報告もあり、この島には中世の気風がまだ息づいているのかと訝る。

柱廊は1630年に建て始めたものという。Johnが簡素で力強いと表現したその特徴は中世の様式を踏襲したものらしい。17世紀前半といえばバロックだからある意味、時代の流れに逆行した動きのように思われるが、この辺境の島にはまだルネッサンス様式も到達していなかったのか。。教会の宝物館に納められている絵などを見る限り、ナポリあたりから流れてきた画家が描いたものが多く、隣国イタリア(シチリア)の影響を強く感じさせるが。。しかしJohnに聞く限り、頻繁に海賊に襲われていたので立派な建物を造っても意味がなかったということが影響しているのかもしれない。またマルタ騎士団は島内の住民が許可無く自警的な施設(壁など)を作ることを禁じていたそうだから、実用的なものしか作らせてもらえなかったのかもしれない。

柱廊自体はJohnがいうように簡素で力強く美しいものであった。中庭というのは北アフリカあたりから伝播した習慣と聞いた覚えがあるが、一般家庭でも裏庭があってそこは高い壁で仕切られていることが多い。地元の人によれば風が強いから風よけの意味があると言っていたが、本当かもしれない。狭い路地に家が建て込んでいるのも風を遮るためというが。

Mdinaを目指して歩いた。丘の上に建つ町とわかる。

Mdinaを目指して歩いた。丘の上に建つ町とわかる。

教会で結婚式が行われていたらしく着飾った人々が城壁から出てきた

教会で結婚式が行われていたらしく着飾った人々が城壁から出てきた

比較的ゆったりとした作りの教会であった

比較的ゆったりとした作りの教会であった

柱が太いのが特徴かな。あと一切飾りがないところも。

柱が太いのが特徴かな。あと一切飾りがないところも。