Daily Archives: 2013年5月29日

渦巻き

授業に参加させてもらった。美術専攻の学生を対象に認知科学を講義するもの。前回は Ramachandran と Hirstein による The Science of Art: A Neurological Theory of Aesthetic Experience の内容を中心に人が何に対して美しいと感じるかを認知科学的に解題。今回はLivingstone のVision and Art: The Biology of Seeingを解題。前回の論文は以前に入手していたにもかかわらずちゃんと読んでいなかったので参考になった。今回はまったく知らない本で、斬新だった。色と輝度の関係が自然に見えるように工夫したのはダヴィンチが初めてであったこと、ラファエロが見栄えをよくするために輝度を全体に上げたため不自然なメタリック感がでていることなど、カラーと白黒画像を並べて解説してくれた。人間が識別できる階調は20程度であること、そのためにレンブラントがどのような工夫をしたか(光と闇のコントラスト、など)、こういう見方ができるのかという話が多くて楽しめた。(音楽を専攻する学生さんに話すときはこういう風に説明したらよいのだろう。参考になった。)

夕方、海辺を散歩。昨日よりも海が静かになった。海に近づいて観察する。岸が岩なので、渦巻く様がよくみえる。マルタにある新石器時代の遺跡には渦巻き模様が頻出するが、これは渦巻く海を模したものであろう。ギリシアにも同様の模様があるが、これらも渦巻く海ではないかと思われる。川だという説もあるようだが、まぁ似たようなものだろう。(ちなみにマルタに川はない。)迷宮との関係を指摘する向きもあるが、運動をパターンとして2次元平面に定着させたものと考える方が自然な気がする。

野中先生は知識創造のスパイラル(らせん)という比喩を使うが、こちらの人にはたぶんそういうメタファーがわかりやすい。一次元的な運動はらせんになる。そういえば今週同僚のH氏と(ネットミーティングで)話していて、ランダムウォークに少し制約をかけてほかの粒子とぶつからないようにすると秩序が現れると言っていた。たくさんの自由運動する粒子が後ろから押されて、互いにぶつからないように動こうとすると波になるのだろう。たぶん。(いい加減なことを言っている。もっと勉強しなくては。)

絵画と関連づけた視覚の説明が面白かった

絵画と関連づけた視覚の説明が面白かった

波と岩のせめぎ合いが面白い

波と岩のせめぎ合いが面白い

エスカルゴ(かたつむり)。これも渦巻き。マルタ名産。4kgで300円くらい。私は好きだけど、、(古代ローマ人が好んで食べていたというだけで抵抗感がなくなった。)持参した味噌とあえてネギと赤唐辛子でトッピング。

エスカルゴ(かたつむり)。これも渦巻き。マルタ名産。4kgで300円くらい。私は好きだけど、、(古代ローマ人が好んで食べていたというだけで抵抗感がなくなった。)持参した味噌とあえてネギと赤唐辛子でトッピング。