Daily Archives: 2013年7月3日

Issues involved in sensing behaviors of the elderly with dementia

ひきつづき会議に参加。この日は最後から二人目の話題提供者として話す機会を与えてもらえた。内容は今までやってきた研究の概観、直面した(倫理的)問題、それらについてどう考えるかと言った意見表明など。15分しか話す時間がなかったので駆け足となったが、きちんと聞いてもらえた。

質問は2つあって、一つはイギリスの方(法律関係)からで、イギリスだと入居者の家族がカメラをつけることが多い(割と普通だし自室にも付ける)という報告、およびそれは介護者からの虐待を危惧してのことという説明であった。日本ではそういう虐待の問題はないのか?と聞かれて、ほとんどないと答えた。カメラ利用の意識の違いを感じた。自分(入居している家族)の権利を守るという姿勢でカメラを導入するところがすごいというか、文化の違いを感じた。日本でもそういうことを言う人は少数ながらいるが、本当に少数だ。実際にやっている人はたぶんいないのではないか。

二人目は技術の方の人で、オーストリア人であったが、彼は「同意」の取り方について質問してくれた。認知症の人からは同意を取りにくいから、元気なときに(認知症になる前に)同意書をもらえばよいのでは?というコメントであった。これに対しては、「人間は変わる」ということを説明した。その時々でその人にとって何がベストかは変わっていくから過去の一時の判断ですべてを決めることは不適切である、と。それから「同意」というのは、たとえ得られたとしても判断する上でのひとつの材料としてとらえるべきで、総合的に様々な立場の人が話し合って意思決定すべきではないかと答えた。そのためにはデータを収集し、それに基づいて話し合うことが必要とも。より客観的な手続きが必要であると説明したらわかってもらえた。

あとはチェアの人がRFIDについてヨーロッパでの扱いをコメントしてくれた。

終了後に皆で食事に行き、そこでもいろいろな人から話しかけてもらえたが、弁護士の人からは実際に扱っている虐待のケースを教えてもらえた。もうすぐ起訴するつもり、とのことで、深刻なんだなぁと肌で感じた。シェフィールド大学の人からは当地で行われている分野横断的な研究を教えてもらえた。訪れて再会&交流する約束をした。ほかにも数人からコメントをもらえた。

介護の視点からのコメントはないが、人権を守るという観点からはどういうふうに映るのか(特にヨーロッパの法律家たちから)ということがわかって有益であった。基本的には人権侵害ではなく(プライバシー侵害ではなく)、むしろ自律を促し、人権を確保するための努力であることが理解してもらえた。そこにある(あり得る)問題についても議論できることがわかった。異なった分野の人と議論するのは大事ですね。

会議が終わってから皆で散歩。共産圏であったころに作られた記念像で唯一残ったものだそうです。

会議が終わってから皆で散歩。共産圏であったころに作られた記念像で唯一残ったものだそうです。

綱渡りが流行っていた

綱渡りが流行っていた

ソビエト占領時代を風刺していると思われる劇の街頭宣伝

ソビエト占領時代を風刺していると思われる劇の街頭宣伝

教会の床がタイルで、それがマルタ風でもあった

教会の床がタイルで、それがマルタ風でもあった

マルタ十字と同じだが、たぶん正教会の建物だろう

マルタ十字と同じだが、たぶん正教会の建物だろう

落ち着いた庭もあった

落ち着いた庭もあった