Daily Archives: 2015年2月19日

「気分良くお金が払えるとき」 哲学カフェ「竜宮城」へのお誘い

 2015年1月10日に開催した第一回に続き、北陸先端科学技術大学院大学主催、カフェフィロ協力で哲学カフェ(Cafe Philo)第二回を開催します。今回も哲学カフェ実践の第一線で活躍されている上智大学の寺田俊郎先生を進行役としてお迎えして、サービスとお金の関係について考えてみます。

 前回、「お金の取れるサービスとは」というテーマで参加者の皆様と話し合いましたが、話しているうちに、自分としては「人の弱みにつけ込んでお金をもらう感じ」が嫌なんだと気づきました。より本質的な問いは、喜んでお金を払ってもらえる、受け取る自分も悪い感じがしないという状況がどうやったら得られるのかということでしょう。そんな思いから今回の哲学カフェには「気分良くお金が払えるとき」というテーマを提案します。

 テーマ設定にあたり、世間はどう考えているのかを知ろうと、ネット検索してみたのですが、そのものずばりを論じているものが見当たりません。釣り銭をどうするとか、キャンセル料がどうかとかそんなことばかりで、どんな時に気分よくお金が払えるのかというを考えているものが見当たらないのです。

 価値と価格の関係は提供側で論じられますが、受け手側の論考がほとんどないように思います。価値に対して割安という「お得感」とか、ボランティア活動は無報酬の方が気持ちがよいといったことはありますが、お金を払って気分がよい、幸せになるというのとはまた違ったことのように思います。金持ちが遊郭一軒借り切って大盤振る舞い、皆が喜び本人も気分がよい、みたいなことは現代では見かけませんし。

 節約を美徳とする教育を小さい頃から受けてきたせいでしょうか、払って幸せな気分になった体験が思い出せません。お世話になった人に贈り物をするというのはありますが、その感謝の気持ちとは幾分違うように思います。衝動買いで気持ちが高揚するというのもありますが、「よい気分」から連想される穏やかな心持ちとはかけ離れたものかと思いますし。レストランで美味しいものに出会ったとき、うれしくなってチップを渡すことはありますがそんな単純なことに帰着されることなのかどうか。もらって当然という顔をされたら気分が冷めるということもありますし。

 自分の体験から敢えて例を挙げるなら、クリスマスが近づく頃、障害者が共同で暮らす施設から募金のお知らせが届いていくらか寄附する時、この人達もいいクリスマスを迎えられそうでよかったという(幸せな?)気持ちになりますが、こういったことは特殊かと思います。神社でお札や破魔矢を買い求める人の気分とは違うように思うのですが、その違いは何かと問われるとうまく答えられません。

[案内としてはずいぶん長くなってしまいました。以下、実務的なお知らせです。]

 働いている人、大学で学んでいる最中の人、働くのをやめて自由に生きている人などなど、どなたでも参加できます。土曜日の午後、答のない問いを一緒に、とつとつと考えてみませんか。みなさまのご参加をお待ちしております.

日時:2015年3月15日(日曜日) 13時30分から15時30分まで
場所:北陸先端科学技術大学院大学 先端領域社会人教育院 (東京サテライト)
会場:Room A (定員20名程度)
住所:東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟19階
品川駅近くです.アクセスについてはこの案内の最後をご覧ください.
参加費:無料(事前のお申し込みをお願いします)

お願い:本会は哲学「カフェ」なのですが、会場運用の都合上、飲食に制約があります。飲料を持ち込むことはできますが、ペットボトルや缶、蓋付き紙コップなど、内容物がこぼれにくいものでお願いします。お弁当やサンドイッチなどは食べられません。スナックや菓子類などもご遠慮ください。ご不便おかけしますがご協力よろしくお願いいたします。

代表 (申し込み・問い合わせ)
藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学 ライフスタイルデザイン研究センター)
メールアドレス fuji@jaist.ac.jp
電話 0761-51-1716 (直通)

[参加を希望される場合] 下記のフォームに必要事項を記入してお送りください.
参加申込先:fuji(at)jaist.ac.jp
上記(at)部分は@マークに置き換えてください
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(1)参加者氏名:
(2)参加者連絡先
氏名:
所属:
E-mail:
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・いただいた情報は本会の連絡のためだけに利用します

ご参考:
北陸先端科学技術大学院大学 http://www.jaist.ac.jp/index-j2.html
知識科学研究科 http://www.jaist.ac.jp/ks/index.html

カフェフィロとは?
http://www.cafephilo.jp/aboutus/aboutus0.html

寺田 俊郎 (上智大学文学部哲学科)
http://rscdb.cc.sophia.ac.jp/Profiles/70/0006927/profile.html

藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
http://www.jaist.ac.jp/~fuji/

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補足1 哲学カフェってなに?
 哲学カフェに決まった定義があるわけではありません。共通するのは、進行役がいて、テーマを設け、その場にいる人たちが話して聞いて考えるというシンプルなつくりです。ですから主催者や進行役によって雰囲気がちがってきます。徹底討論する、じっくり対話を進める、その場でテーマをつのる、進行役がテーマを提示する、哲学の知識・歴史をフル活用する、日常経験を活かす、などなど。「カフェフィロ(Cafe Philo)」が開く哲学カフェはケンケンガクガクの議論というより、<話すー聞く>を丁寧に積み重ねてじっくり考えることがおおいです。それでも進行役の個性や場所の雰囲気によって違ってきます。いろいろなカフェに参加して進行役の個性や違いを味わうのも、哲学カフェの楽しみ方の1つと言えるでしょう。
(http://www.cafephilo.jp/activities/activities_cp.html より抜粋)

補足2 北陸「先端科学技術」大学院大学と哲学がどう関係するの?
 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は科学技術を教育研究する国立大学ですが、イノベーションやサービスなども得意分野です。理系に特化しているわけではありません。本会を主催する知識科学研究科は「知識」をテーマとしており、同じく知を扱う哲学とも緊密な関係にあります。

補足3 なぜJAISTで哲学カフェを開くの?
 実は主催者(藤波)は学部生の時に哲学を専攻しておりまして、現在は科学技術分野にいますが、哲学的な課題は常に頭の隅にあります。哲学カフェは答のない問いに多面的にアプローチする際に有効と感じていますし、重要な問いは誰でも参加できる場で議論すべきと考えています。7年ほど前のことですが、以前にも哲学カフェを開いたことがあります:
・地域で「老い」について考える 哲学カフェ「竜宮城」
http://www.jaist.ac.jp/event/2008/post-42.html
http://blog.cabrain.net/CN008041/article/id/21775.html
・舞鶴にある特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」にもお邪魔しています
http://torindo.org/【とつとつメモ】1とつとつダンスpart2-愛のレッスン/

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会場へのアクセス:
・JR東海道本線・横須賀線・山手線・京浜東北線「品川駅」
・JR東海道新幹線「品川駅」港南口 徒歩3分
・京浜急行線「品川駅」高輪口 徒歩5分

詳細は以下の地図をご覧ください
http://www.jaist.ac.jp/satellite/sate/access/index.html

JR品川駅の中央改札を出て「港南口」方面へ歩いていくと連絡歩道があり、ビルまで直結しています。港南口から右斜め方向にインターシティのビル群が見えます。駅に一番近い楕円形ガラス張りの高層ビルがA棟です。そのビルの19階に東京サテライトがあります。歩道橋伝いに入館していただくとそこが2階です。2階入口正面にエスカレーターがありますので、それを使ってまず3階に上がって下さい。3階からエレベータで19階まで上ってください。19階で停まるエレベータは3列あるうちの中央列に並んでいます。(ほかの列にあるエレベータは19階で停まりませんのでご注意下さい。)